■米国の公定歩合引き上げを機に、米ドル高が進んだ
米ドル高がさらに進んでいる。ドルインデックスは昨年6月以来の高値水準まで値を飛ばし、勢いを増している。
筆者は以前から、テクニカル面からの考察によって、「今年第1四半期は総じて米ドル高の傾向にある」と指摘していたので、足元の値動きは予想の範囲内だ。
しかし、ファンダメンタルズの面では、予想外の出来事が発生している。
それは、米FRB(連邦準備制度理事会)の公定歩合引き上げだ。
2月18日(木)のFRB理事会において、公定歩合を現行の0.5%から0.75%に引き上げることが決定され、その翌日から実施されることが発表となった。
当然のことながら、マーケットはこのニュースが伝わった後に米ドル買いに反応した。
ユーロ/ドル&ポンド/ドル 1時間足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
特に、対ユーロ、対英ポンドといった「弱い通貨」では、米ドル高のトレンドがより鮮明になっている。
■「公定歩合引き上げ」自体はノーサプライズ
ユーロ/米ドルは下落が続いており、2月19日(金)には1.3445ドルの安値をつけている。これで、筆者が2月5日(金)のコラムで挙げた1.3485ドルというターゲットは達成された(「現在の下げ変動が08年の『デジャヴ』なら、ユーロ/ドルのターゲットは1.3485ドル近辺」を参照)。
さて、ユーロ/米ドルは今後、どのように推移するのか?
さっそく2月19日(金)の朝方に、トレーダー仲間から「ユーロ安の一服は、当面難しいのでは?」という質問を受けた。
これについては、基本的に、筆者のロジックである「ファンダメンタルズはトレンドの後追いで発生しやすい」といった側面でとらえれば、それ以上の解釈は無用なのだが、ここでは補足的に、次の2点を私見として挙げてみたい。
実際、FRBメンバーも誤解されたくないためか、本稿執筆時点で、アトランタ連銀のロックハート総裁の「年内に利上げするといった市場の観測は行き過ぎ」といった発言が伝えられ、早くもマーケットをけん制している。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
特に、対ユーロ、対英ポンドといった「弱い通貨」では、米ドル高のトレンドがより鮮明になっている。
■「公定歩合引き上げ」自体はノーサプライズ
ユーロ/米ドルは下落が続いており、2月19日(金)には1.3445ドルの安値をつけている。これで、筆者が2月5日(金)のコラムで挙げた1.3485ドルというターゲットは達成された(「現在の下げ変動が08年の『デジャヴ』なら、ユーロ/ドルのターゲットは1.3485ドル近辺」を参照)。
さて、ユーロ/米ドルは今後、どのように推移するのか?
さっそく2月19日(金)の朝方に、トレーダー仲間から「ユーロ安の一服は、当面難しいのでは?」という質問を受けた。
これについては、基本的に、筆者のロジックである「ファンダメンタルズはトレンドの後追いで発生しやすい」といった側面でとらえれば、それ以上の解釈は無用なのだが、ここでは補足的に、次の2点を私見として挙げてみたい。
(1)最近のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録やバーナンキ議長の発言などから考えると、公定歩合引き上げへの地ならしがきちんと行われていたことが見て取れる。
従って、今回のサプライズはそのタイミングとスピードにあり、本質的には、連銀貸し出しの正常化のプロセスにすぎない。
言い換えれば、「正常ではない時期」から「正常である時期」に戻っただけで、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の早期利上げにつながるといった連想は早計だ。
(2)早期利上げを織り込もうとする一部市場関係者の思惑とは反対に、米国の早期利上げが実現できなければ、米ドルにそれなりの反動が出てくる可能性は高い。
従って、今回のサプライズはそのタイミングとスピードにあり、本質的には、連銀貸し出しの正常化のプロセスにすぎない。
言い換えれば、「正常ではない時期」から「正常である時期」に戻っただけで、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の早期利上げにつながるといった連想は早計だ。
(2)早期利上げを織り込もうとする一部市場関係者の思惑とは反対に、米国の早期利上げが実現できなければ、米ドルにそれなりの反動が出てくる可能性は高い。
実際、FRBメンバーも誤解されたくないためか、本稿執筆時点で、アトランタ連銀のロックハート総裁の「年内に利上げするといった市場の観測は行き過ぎ」といった発言が伝えられ、早くもマーケットをけん制している。
■サプライズだが、ユーロの安値追いには賛成できない
いずれにせよ、マーケットが現実に米国の利上げを本格的に織り込もうとしているだけに、筆者は、米ドル高の進行はすでに「8合目」に達していると思っている。
また、今年後半、筆者の描くシナリオどおりに米ドル安の進行があれば、それは他ならぬ、米国が利上げできないことに伴う失望感による米ドル売り、すなわち、反動が起こるといった要素が大きいであろう。
従って、結論として、米国の公定歩合引き上げという材料だけでは、ユーロの安値追いには賛成できないとトレーダー仲間には伝えた。
まるで筆者の考えを証明するかのようで、材料的にサプライズ性はあるものの、マーケットは実に冷静に受け止めているという印象を持っている。
いずれにせよ、マーケットが現実に米国の利上げを本格的に織り込もうとしているだけに、筆者は、米ドル高の進行はすでに「8合目」に達していると思っている。
また、今年後半、筆者の描くシナリオどおりに米ドル安の進行があれば、それは他ならぬ、米国が利上げできないことに伴う失望感による米ドル売り、すなわち、反動が起こるといった要素が大きいであろう。
従って、結論として、米国の公定歩合引き上げという材料だけでは、ユーロの安値追いには賛成できないとトレーダー仲間には伝えた。
まるで筆者の考えを証明するかのようで、材料的にサプライズ性はあるものの、マーケットは実に冷静に受け止めているという印象を持っている。
上のチャートを見ると一目瞭然だが、ユーロ/米ドルの日足チャートを「ボリンジャーバンド」で見ると、足元でユーロ安の進行がはっきりしているにも関わらず、「−2σ」のバンドを超えて米ドル高が進むことはなかった。
■米ドル/円の上昇には限界がありそう
それでは、ずっと「蚊帳の外」に置かれていた米ドル/円の値動きをどう見るか?
言うまでもないが、筆者の想定どおりにユーロ安の一服があるならば、ユーロ/円のベア(弱気)トレンドも一時緩和されることになる。これは、米ドル/円にもプラスの作用をもたらす。
だが、米国の利上げ期待という材料によってようやく立ち上がっている値動きから考えると、すでに「8合目」のところまで進行しているドルインデックスの後追いができても、米ドル/円の上昇には限界があるだろう。
すなわち、円安のシナリオは描きづらい。
■虎年の2010年は波乱の1年になる!?
ところで、虎年の2010年は、中国の風水学だとかなりの波乱がありそうな1年になりそうだ。
筆者は、為替マーケットに大きな「脅威材料」が潜在的に存在していて、それゆえに、今年から来年にかけて大揺れするのではないかと思っている。マーケットのボラティリティーは拡大し、ますます不確実性を高めていくだろう。
それが吉と出るか、凶と出るかは各トレーダー次第であるが、1992年の英ポンド危機のように、ビットとオファーの差が300pipsにもなれば、さすがに個人投資家はついていけなくなるだろう。
今は冗談にしか聞こえない事態にわれわれが直面する確率は、次第に増大している。マーケットに「あり得ない」は禁句である。
その意味では、筆者自身も含めて、為替マーケットでプレーヤーとして行き残りたいならば、しっかりとしたリスクコントロールをしなければならない。
次回は、その「脅威材料」についてお話ししたい。
(2010年2月19日 東京時間12:20記述)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)