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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米ドル/円は、控えめに言っても130円ぐらい
までの上昇がありそう。かつてないほどに、
円安に行きやすい環境が整っている!

2022年03月23日(水)18:19公開 (2022年03月23日(水)18:19更新)
志摩力男

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黒田総裁は意見を変えず、円安容認。大円安時代が幕開けか!?

 2022年3月18日(金)、日銀金融政策決定会合後の会見では、黒田総裁への質問は予想通り「円安」に関するものばかりでした。

【参考記事】
米ドル/円は、アベノミクス相場の最高値125.82円を近いうちに挑戦するか。注目は3月18日の黒田日銀総裁の会見へ(3月17日、志摩力男)

 物価がこのところじわりと上昇しているのは誰しもが感じるところ。しかし、黒田総裁は従来からの意見を変えませんでした。

 「円安が全体として経済・物価を共に押し上げ、わが国経済にプラスに作用している基本的な構図はかわらないと考えています」

すなわち円安容認。この言葉で円の行き先は決まりました。

日銀金融政策決定会合後の会見で黒田総裁は、従来からの意見を変えなかった。すなわち、円安容認。これで円の行き先は決まったという (C)Bloomberg/Getty Images

日銀金融政策決定会合後の会見で黒田総裁は、従来からの意見を変えなかった。すなわち、円安容認。これで円の行き先は決まったという (C)Bloomberg/Getty Images

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今は、かつてないほど円安に行きやすい環境が整っている。その根源的な要因とは…!?

今は、かつてないほど、円安に行きやすい環境が整っていると思います。

(1)金利政策:米国始め他の国はインフレ対策から金融引き締めにシフトしていますが、日本は緩和政策を変えるつもりはありません。金利差拡大は円安要因となります。

(2)貿易収支:日本はかつてGDP比3~4%程度の貿易黒字を計上していましたが、2011年の震災以降、貿易収支はトントンか、むしろ赤字に傾きがち。資源価格の高騰から、今後、貿易赤字が続くことが想定されます。

(3)市場のポジショニング:IMM(国際通貨先物市場)通貨先物市場にはある程度の円ショートポジションがありますが、これが市場全体を表しているとは思えません。日本のFX業者は、通常米ドル/円ロング(買い)、円ショート(売り)が多いのですが、それがこのところはほとんど、米ドル/円ロングがなく、むしろ米ドルショート(円ロング)だったので、そのストップロスが120円越えで出ています。

(4)政治リスク:トランプ元大統領は貿易収支問題にご執心でしたが、米財務省は常に円は過小評価されていると、為替報告書で警告していました。米国からの圧力で円安が止まったり、円高が放置されたりしました。しかし、今、米国の最大の問題はインフレです。インフレ抑制のためには米ドルは強い方が好都合。米国からの圧力は今回に限ってはなさそうです。

【参考記事】
米ドル/円は、アベノミクス相場の最高値125.82円を近いうちに挑戦するか。注目は3月18日の黒田日銀総裁の会見へ(3月17日、志摩力男)
【2022年の見通し】日本は海外での運用で稼ぐ構造へ変化。リスクオフがあっても円高は続かず、米ドル/円はいずれ120円へ(2021年12月22日、志摩力男)

 ただ、こうしたことは市場の材料です。根源的な問題は日本の競争力が低下していること、少子高齢化、そして日本が事実上財政ファイナンスしていることです。

アベノミクスは「偉大な時間稼ぎ」でしたが、金融緩和と円安は単なる時間稼ぎの手段でしかありません。日本人の労働力を安売りすることで、競争力を維持したまでです。それなのに、政治家も識者も本質論を避け、金融緩和さえ続けていれば、日本経済が復活するかのような幻想がふりまかれました。

【参考コンテンツ】
日本経済はアベノミクスのツケをこれから払う局面に…悪い円安が来る!(2021年12月8日、志摩力男)

資源価格は高いレベル維持で日本は不利。このインパクトを和らげるには本当は円高の方が良いのだが…

 ウクライナにおける戦争がどのような結末を迎えるのかわかりませんが、今後、世界経済から資源大国ロシアを排除するという大規模な「枠組み変更」が行われます。エネルギー供給はそんな簡単には増えません。

 その中で、巨大なロシアの資源を使わないようにシフトするので、資源価格が高いレベルで維持されることは不可避です。

WTI原油先物 週足
WTI原油先物 週足

(出所:TradinView

 その意味では、産油国や、豪州のような資源に恵まれた国の競争力が高まることは明らかで、反対に、日本のように資源のほとんどを輸入に頼る国には不利です。

 たとえば、原油に限って議論しても、日本が消費する原油は1日約400万バレル。1バレル=50ドルであれば、1日2億ドル(1ドル=120円換算で240億円)、1年では8兆7600億円です。1バレル=100ドルになれば倍の17兆5200億円と、9兆円弱支払いが多くなりますが、これは消費税3%分です。

 状況次第では1バレル=150ドルとなるかもしれませんが、そうなると1バレル=50ドルの時代と比べて、17.5兆円も産油国へ強制的に税金を取られるようなものです。そのインパクトを和らげるには、本当は円高の方が良いとは、個人的には思います。

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円安への道筋ははっきりしている。米ドル/円は130円ぐらいまでの上昇があっても良さそう

 この結果、日本の貿易赤字は拡大するので、ますます円安が加速するでしょう。そうした中、日本は巨額の財政赤字があるので、政府も日銀も金利を上げたくありません。

 長い間、米ドル/円は動かなかったので、投機筋も関心を失っていました。しかし、どう見ても、円安になる道筋がはっきりしているので、今後、米ドル/円マーケットに参入してくる投機筋は増えるでしょう。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:TradinView

 アベノミクスで米ドル/円は、75円前後から125円前後へと50円上昇しました。その後、100~120円前後のもみ合いが続きました。

 アベノミクスのときと同じ50円ぐらいの動きがあるかもしれないとは思っていますが、控えめに6割ぐらい、30円ぐらいの上昇(130円)があっても良いかなと思います。

米ドル/円 月足
米ドル/円 月足

(出所:TradinView


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