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米国の関税政策は米ドル高・円安要因か?自動車関税
発動で米国はスタグフレーション発生、日本はいずれ
輸出減の生産台数低下で経済に大ダメージになる!?

2025年04月01日(火)07:12公開 (2025年04月01日(火)07:12更新)
志摩力男

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自動車関税発動で米国はスタグフレーション発生か?

 トランプ米大統領は、3月26日(水)、自動車・部品の輸入に対し25%の追加関税を決定しました。4月3日(木)以降に通関されたものに適用とのことです。

3月26日(水)、トランプ米大統領は自動車・部品の輸入に対し25%の追加関税を決定した (C)Mark Wilson/Getty Images

3月26日(水)、トランプ米大統領は自動車・部品の輸入に対し25%の追加関税を決定した (C)Mark Wilson/Getty Images

 この決定を受けて、さっそくイタリア・ファラーリは最大10%の値上げを決めました。顧客が支払い能力のある超富裕層であるフェラーリであれば、関税を販売価格に上乗せすることは容易でしょう。それでも、25%ではなく、まずは10%でした。

 多くのメーカーはどうするのか。本来、販売価格を25%上げて米国の消費者に負担を求めるべきところです。

 しかし、自社だけ販売価格を上げると売上が落ちることになります。よって、競合他社の動向を見ながら慎重に決めていくことになるのでしょう。25%すべてが価格に反映されないと高をくくっているので、米政権も関税政策を推し進めます。

 それでも、自動車販売価格はかなり上昇することになります。米国の消費者はどうするのか。購入することが決まっている人は、購入を急ぐことになります。

 新車を待つと関税で価格上昇してしまう場合は、中古車を買うでしょう。そうなると、中古車価格は上昇します。そして、高い価格の車を購入する分だけ、他に回す消費が減少することになります。米国全体での消費は減少します。

 つまり、価格上昇(インフレ)と消費減退(景気減速)が同時に起こることになります。これは、スタグフレーション的な動きです。

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日本から米国への自動車輸出はいずれ少なくなりそう

 3月19日(水)に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、関税を先取りしたのか、成長見通しが低下し、インフレ見通しは上昇しました。

3月FOMCで示された米国経済成長見通し
3月FOMCで示された米国経済成長見通し

(※筆者提供)

 ドット・チャート(プロット)に関しては、2025年末の利下げ予想は2回で変わりませんが、FOMC関係者全体としては、より「タカ派」にシフトしました。

3月FOMCドット・チャート
3月FOMCドット・チャート

(※筆者提供)

 関税は米国経済にスタグフレーション的圧力をかけます。では、日本経済にはどのような影響を与えるでしょうか。

 日本から米国へは年間130万台、約6兆円の自動車が輸出され、自動車部品に関しては約1.2兆円です。両者ともに25%の関税がかかるので、自動車部分に1.5兆円、自動車部品部分には3000億円、合計1.8兆円程日本側は米国に支払うことになります。

 全額価格転嫁は難しいので、ある程度、米市場への参加費用として支払うことになり、その分、企業業績が低下します。

 日本からだけでなく、日本の自動車メーカーはメキシコ、カナダからも米国に輸出しています(合計87万台)。その部分に関しては、米国製の部品をどの程度使っているかで関税率が変わりますが、それなりの金額を支払うことになります。

 各自動車メーカーが支払うであろう関税額の大雑把な推計値を出してみました。メキシコ、カナダは関税率10%程度にしています。

各自動車メーカーが支払う可能性がある関税額

(※筆者提供)

 こうしてみると、1兆円と巨額ではあるものの、トヨタが関税を払う余裕はありますが、日産、マツダ、三菱自動車にはかなり厳しく見えます。

 日本からの輸出はいずれ少なくなりそうです。そうなると、日本の景気には重大な影響があります。車産業は裾野が広いので、日本における生産台数の低下は日本経済に大きな下押し圧力となるでしょう。

 大和総研によると25%関税は日本の成長率を0.36%減少させると予測しています。第一生命経済研究所は0.52%押し下げると予測しています。潜在成長率が0%台の日本には大変厳しく、日銀の利上げ路線は頓挫せざるを得ないでしょう。

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米国の関税政策は米ドル高・円安要因か?

 米関税の為替相場への影響を下の表にまとめました。

米関税の為替相場への影響
米関税の為替相場への影響

(※筆者提供)

 こうしてみると、米ドル高・円安要因となる理由が多いように見えます。しかし、マーケットのその時の状況次第で反応は違うので、注意したいところです。

 特にトランプ政権になってから、米景気後退の足音が大きくなっているように思えます。全面的なリスクオフ相場になると、昨年(2024年)8月初旬のように、米国株も米ドル/円相場も大きく崩れる可能性があります。注意して市場に相対すべきでしょう。


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