米ドル/円は短期的には行き過ぎで、しばらくは調整することになりそう。ただし、円安は一過性ではなく何年も続く大きなトレンドになる
猛スピードで円安が進み、目先のターゲットとしていた130円がすでに眼前に迫ってきた。短期的には行き過ぎだ。しばらくは利食い売りなどが先行し、調整することになるだろう。
(出所:TradingView)
しかし、短期間での大きな動きは、しばしば大相場のスタートを暗示するというのは相場のセオリーだ。116.40円をブレイクした3月11日(金)がこの相場のスタート地点と考えると、わずか1カ月と10日ほどで15円近く動いたという事実は大きい。円安は一過性のものではなく、これから先、何年も続く大きなトレンドとなるだろう。
【参考記事】
●米ドル/円は買われ過ぎによるスピード調整想定も、そこは買いの好機に!10円前後の大陽線出現は大相場の予兆か(3月30日、志摩力男)
ファンダメンタルズを考えても、多額の債務を抱える日本の金利が、多少上下することはあっても大きく上昇するとは考え難い。これは、長期の円安をサポートする要因になる。
このところ政府も円安を牽制するが、どうも歯切れが悪い。円安を止めるには、短期的には、金利を上げるか、為替介入をするかしかないが、どちらも難しい。本質的なことをいえば、規制緩和等で海外から日本に投資することが非常に魅力的になるようにすることが大切だが、これには時間がかかる。
政府の円安に対する歯切れの悪さは、どこかにインフレで政府債務を実質的に小さくしたいという考えが暗にあるからだろう。
【参考記事】
●円安を止める方法は金融政策の引き締めか為替介入。ただし、介入があって円高となれば、そこは円売りのチャンスに(4月13日、志摩力男)
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第二次大戦後の英国の推移、英ポンドの動きが、将来の日本や円の動向を見る上で参考になるか
日本の政府債務はGDP比で250%を越える。これほどの政府債務を持った前例は第二次大戦後の英国ぐらいではないだろうか。
その意味では、その後の英国の推移、英ポンドの動きが、将来の日本、そして円の動向を見る上で参考になるのではないかと思う。
英ポンド/円の長期チャートを見て欲しい。もっとも長いチャートは、1972年ぐらいからスタートするが、その当時の英ポンド/円は700円台だ。現在は167円水準。かなり円安方向に動いたとはいえ、当時から比べると英ポンドの価値は4分の1から5分の1ぐらいだ。
(出所:TradingView)
リーマン・ショックの際に110円台に突入したことを考えると、6分の1になったとも言える。
日本円の価値が半分になるのはちょっと想像し難いが、1ドル=200円というレートもありうることになる。実際に英国で起こったとおりになれば、米ドル/円は400円、500円といったレートもありうることになってしまう。
しかし、だからといって英国は弱小国だろうか。1960~70年代は「英国病」という言葉があったように、たしかにその頃は弱かったが、サッチャー首相の改革を経て、今は十分に強国だ。日本の目指す姿はそこにあるかもしれない。
戦後GDP比で250%ほどであった英国の国家債務は、今はコロナ対策で少し膨らんで対GDP比で100%ほどだが、2000年代は40~50%ほどだった。健全な財政を持つ国だ。自国通貨が弱くなっても、国力さえ伴えば悲観することもないといえる。
(出所:財務省)
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継続的に円が弱くなり、経済もインフレになるなら、FX会社を通じて海外通貨をロングにして、円をショートに。米ドル/円は調整後、130円より上を目指す展開になるか
今後継続的に円が弱くなり、そのうち経済もインフレになるならば(1970~80年代の英国はインフレ率が高かった)、我々はどのようにすればよいのだろうか。
資産を円以外にするというのは簡単だが、本当に国外に出すとなると、いろいろな問題が生じる。
海外不動産を買うのも良いだろうが、管理、税金等々、その労力は大変だ。しかも現金を出すときの為替レートは、かなりのスプレッドを取られる。
そうであるなら、FX会社を通じて米ドル等、海外通貨をロング(買い)にして、円をショート(売り)にする。これだったら簡単である。過度のレバレッジは本末転倒だが、少しかけることで資産効率をアップさせることもできる。
今後の米ドル/円は、少し調整が入るだろうが、125円より下に行くのは簡単でないだろう。125円前後をメドに、また米ドルロング・円ショートを構築し、今度は130円より上を目指す展開になるのではないだろうか。まだ、長期円安トレンドのスタートにしか過ぎない。
【参考コンテンツ】
●米ドル/円の上値メドは130円台へ!アベノミクス開始時からこの円安は約束されていた!?(3月29日、志摩力男)
(出所:TradingView)
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