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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米ドル/円は買われ過ぎによるスピード
調整想定も、そこは買いの好機に!
10円前後の大陽線出現は大相場の予兆か

2022年03月30日(水)19:27公開 (2022年03月30日(水)19:27更新)
志摩力男

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円の価値は過去50年でもっとも安くなった…。日本は超金融緩和で円の希薄化ばかりしている

 自身の会社の株価が下落して喜ぶ社長さんはいないでしょう。円の価値は日本という会社の株価のようなもの。しかし、日銀の黒田総裁は、円安は「全体としてみればわが国経済にプラス」と歓迎しています。円の価値は過去50年でもっとも安くなり、多くの国民は薄ら寒いものを感じています。

円の実質実効為替レート

(出所:日本銀行

 会社であれば株価を上げるために、あの手この手と様々な手段を講じます。中には株の売り出しなどを通じて、株価の希薄化ばかりしている会社もありますが、そうした会社の株価は評価されることはありません。日本は超金融緩和政策により、円の希薄化ばかりしています。

 米ドル/円は今週(3月28日~)、125.10円まで急騰しましたが、今月(3月)だけで、10.45円(高値125.10円、安値114.65円)も上昇しました。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradinView

 この数年、為替市場はあまり動かず、昨年(2021年)こそ13円ほどのレンジ(高値115.52円、安値102.60円)でしたが、2020年は11.04円(高値112.22円、安値101.18円)、2019年は9.95円(高値112.40円、安値104.45円)、2018年9.92円(高値118.61円、安値107.32円)と年間レンジ幅が10円にも満たない年がありました。それを考えると、今月(3月)の10円超の値幅は、ちょっと動きすぎでしょう。

 そのため、目先はスピード調整、値幅調整があることが予想されます。しかしこれだけ大きな10円前後の大陽線が出たときは、2016年のトランプラリーの時を除いて、大きな相場のスタートとなっています。可能性として、円安相場が続くのではないかと思います。

【志摩力男の動画コンテンツ】
米ドル/円の上値メドは130円台へ!アベノミクス開始時からこの円安は約束されていた!?(3月29日、志摩力男)

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なぜ、日銀は超金融緩和政策にこだわるのか?

 各国がインフレ対応として金融引き締めに急ぎ、資源価格の高騰に苦しむ中、どうして日銀は超金融緩和政策にこだわるのか。

 黒田総裁の、2年以内にと言いながら9年間達成できなかった、2%の物価目標を実現したいという気持ちはわかります。それは、このままいけば遅かれ早かれ2%を越えてくるでしょう。

【参考記事】
岸田政権は、米ドル/円が110円を下回ることを望んでいる? マーケットを揺らした、ロイターの観測記事を書かせたのは誰か?(1月26日、志摩力男)

 それにしても、インフレ政策、円安政策を採りながら、ガソリン価格を抑えるため税金を使うのは、矛盾しているようにしか見えません。

 今回、10年物国債利回りが0.25%を越えないように、日銀は指値オペを行いましたが、それをきっかけに円安が進みました。

 そのうち、インフレ目標が達成され、YCC(イールド・カーブコントロール)(※)政策も修正を迫られると思います。そのときには、おそらく、10年国債利回りの上限を、現状の0.25%から広げて、0.50%程度にもっていくとか、様々な手法があると思いますが、長期金利の上昇を容認するところからスタートすることになるはずです。

(※編集部注:「イールド・カーブコントロール」とは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作して、イールドカーブを適切な水準に維持すること)

 ところが今回の指値オペ、JGB(日本国債)のトレーダーからは、「日銀は金利上昇抑制に結構本気だった」と聞こえてきます。

日銀が0.25%で金利を抑えようとしているのは、ポートフォリオの逆ざやを懸念したものか

 なぜ、日銀は0.25%でJGBの金利を抑えようとしているのか。

 日銀は現在500兆円以上の国債を保有していますが、その平均利回りは0.23%前後であると推測されています。もし、10年国債利回りが0.23%を越えてくるなら、日銀が持つポートフォリオは逆ざやになり、損失を計上することになります。もしかすると、官僚的にはそうした評価損を計上することが嫌なのかもしれません。

 日銀が国債を買い続ければ、評価損は避けられます。また、無制限に買うことも許されています。もしかすると、評価損を避けるため、無限に買い戻そうとしているのかもしれません。

 いわゆるYCC政策が導入されたのは2016年9月。当初は0%±0.2%程度でしたが、それでもJGBを積極的に売る投資家はいなかったので、日銀の国債購入額は年々少なくなりました。

日銀によるYCC政策は2016年9月に導入された。当初は0%±0.2%程度だったが、それでもJGBを積極的に売る投資家はおらず、日銀の国債購入額は年々少なくなっていたのだが… (C)Bloomberg/Getty Images

日銀によるYCC政策は2016年9月に導入された。当初は0%±0.2%程度だったが、それでもJGBを積極的に売る投資家はおらず、日銀の国債購入額は年々少なくなっていたのだが… (C)Bloomberg/Getty Images

 しかし、今回は違うかもしれません。世界中でインフレが意識されています。向こう10年を考え、インフレ率が0.25%よりももっと大きくなると投資家が判断した場合、この0.25%で国債を売る投資家は増えるでしょう。10兆、20兆、もしかすると100兆、200兆と投資家の売りは増えるかもしれません。

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日銀のバランスシート急拡大は円売り材料。危険性をはらむ「無限ループ」とは?

 そうなると、日銀のバランスシートはその分、急拡大することなります。これはもちろん円売り材料です。

世界の通貨VS円 月足
世界の通貨VS円 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 月足

 「インフレが進む→投資家の国債売りが増える→日銀のバランスシート拡大→円売り→さらにインフレ懸念進む→投資家の国債売り→日銀バランスシート拡大→円売り……」、という無限ループに陥りかねない危険性をはらんでいます。

 それを終わらせるには、YCC政策をやめるしかないのですが、そのとき、日銀は大きな評価損を抱えることになります。

 それにとどまらず、日本の長期金利が上昇すれば、日本政府の利払い費(現在はわずか8兆円強)が劇的に増えることになります。日銀がYCCを変更したり、金利を上昇させるには、事実上、政府の同意が必要となってくるでしょう。そうなると、金融引き締めに転じるのにかなり時間がかかることになります。

 結局、巨額債務を持つことになるため、金利が上げられないという構図であり、米国などがインフレ対応で利上げを進めるならば、円安はさらに進まざるをえません。

今の米ドル/円はあまりにも買われ過ぎなので、調整があるでしょうが、そこは円売りのチャンスとなるはずです。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:TradinView


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