トルコCPIは大幅に鈍化。これが本当ならポジティブサプライス
TUIK(トルコ統計局)が1月3日(火)に発表した12月CPI(消費者物価指数)の上昇率は前年同月比で64.27%になりました。コンセンサスを大きく下回る結果です。CPIは10月に85%に達してから大幅に鈍化したことになります。
(出所:TUIK)
(出所:TUIK)
12月のCPIは前月比で1.18%の上昇となったこともサプライズでしたが、依然としてTUIKの統計を信頼していいのかどうかという問題が残ります。もちろんベース効果の影響があるのでCPIはある程度下がると事前に予想されていました。しかし、ここまでの鈍化が本当なのだとしたらかなりのポジティブサプライズです。
トルコ鉱工業生産指数は低下に転じる。欧州経済の減速が製造業の足かせに
そしてTUIKは1月10日(火)、11月の鉱工業生産指数を発表しました。結果は前年同月比で1.3%の低下、前月比で1.1%の低下でした。
(出所:TUIK)
(出所:TUIK)
トルコの製造業PMIは9カ月連続で50を下回っていたのである程度予想できた結果ですが、パンデミック以降、製造業は常に堅調だったので、前年同月比で初めて低下に転じたのはネガティブサプライズです。
やはり、トルコにとって最大の貿易相手(国)である欧州経済の減速が製造業の足を引っ張っているようです。また、トルコリラ安が製造業にもたらす恩恵も一巡したと言えるでしょう。
トルコ大統領選挙、エルドアン大統領不出馬の見方も。決選投票になれば当選は厳しいか
今週(1月9日~)のトルコリラは対米ドルでほとんど変わらず、米ドル/トルコリラは18.80リラ前後で推移していますが、対円では円高の進行を受け、トルコリラ/円は一時7.00円を割りました。
(出所:TradingView)
エルドアン大統領の演説によると今年(2023年)の大統領選挙は前倒しで行われる可能性が高いです。大統領選挙の1回目の投票日としては4月30日(日)、5月7日(日)と5月14日(日)という日程が話題になっています。
依然として野党6党の候補者も与党の候補者もまだ確定はしていません。与党の候補者はエルドアン大統領になるとみんな確信していますが、エルドアン大統領が負けるとわかっている選挙に出馬しないのではないかとの見方もあります。
また、イスタンブール市長のイマモール氏が侮辱罪で有罪になって以降、野党6党の共同候補者についても不透明感が増しました。野党6党の連合に入っていないクルド系政党のHDP(国民民主党)は独自に候補者を立てる模様です。
大統領選挙は1回目の投票で過半数に満たなかった場合、上位2名が2回目の決選投票に進むというルールになっていますが、クルド人が応援する候補者が大統領になることは確実です。その観点でいうと決選投票になったらエルドアン大統領の当選は厳しいと言えるでしょう。
トルコの大統領選挙は1回目の投票で過半数に満たない場合、上位2名が決選投票に進むルールになっている。その場合、エルドアン大統領の当選は厳しいか (C)Anadolu Agency/Getty Images
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
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著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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