トルコ中銀は4回連続利下げ。政策金利を1.50%引き下げ9.00%に
TCMB(トルコ中銀)は11月24日(木)に行われた金融政策決定会合で、政策金利を10.5%から9%に150bps(1.50%)利下げしました。
(各種データを参考にメルマガ部が作成)
政策金利に使われているのは1週間物のレポ金利ですが、この利下げを持ってトルコは政策金利が10%であるメキシコを下回りました。4回連続の利下げとなりましたが、トルコ中銀は景気減速への懸念から利下げを行っていると主張しています。
トルコの景気が減速しているのは確かですが、ハイパーインフレが起きている最中に利下げを行っているのは経済のことを考えているからではなく、エルドアン大統領の指示があったからです。
エルドアン大統領はたびたび「年内に金利を一桁に落とす」と発言していたので、トルコ中銀はそれに従っただけにすぎません。
インフレの勢いが止まらず、生産者にとって大きな負担に。国内の製造コスト増、トルコリラ安にならない最悪のシナリオが起こっている
トルコの景気動向を示す重要な指標のひとつである民間セクター信頼感指数が先週(11月21日~)発表されました。トルコ中銀の発表によると、信頼感指数は11月に97.9を記録し、前月比で2.4ポイント低下しました。これは、2020年6月以来の低水準です。
トルコ政府は為替を維持することに注力していますが、一方でインフレの勢いが止まりません。これはトルコの生産者にとって大きな負担となります。トルコで製造して、海外に販売している生産者にとって米ドル高・トルコリラ安は歓迎です。
最悪なシナリオは国内の製造コストが増えているのに、米ドル/トルコリラが上昇しなくなることですが、それが今、起きています。
(出所:IG証券)
トルコ中銀の積極的な利下げでも下がらないトルコリラ。その理由とは?
今週(11月28日~)のトルコリラは、対米ドルで大きく動かず18.60リラ前後で推移しています。対円では円高の進行を受けて7.40円を割る場面もありましたが、その後、7.45円水準まで戻しました。トルコリラ/円が独自に動いているというよりは、米ドル/円の動きをそのまま反映しています。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
トルコ中銀の積極的な利下げにも関わらずトルコリラが大きく下がらないことに驚いている投資家さんも多いと思います。
実は、トルコ政府が為替差損保障型の預金制度を導入して以降、政策金利そのものの意味が薄まりました。この預金制度は隠れた高金利政策です。トルコ中銀が政策金利を下げたからといって民間銀行の貸し出し金利も下がりません。
こんな回りくどいやり方を続けているのは金利上昇に反対してきたエルドアン大統領のメンツを保つ以外の理由にすぎません。
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
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著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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