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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米国の金融引き締め終了が見えてきた。米ドル高
トレンド終了も近いか。ユーロ/米ドルは2008年から
14年続いた長期ダウントレンドが終了した可能性

2023年01月26日(木)13:27公開 (2023年01月26日(木)13:27更新)
志摩力男

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YouTube動画「週刊!志摩力男」では、志摩さんがより注目しているテーマをピックアップし動画で解説します。動画を視聴したら、続けて最新コラムをご覧ください。

週刊!志摩力男


米国のインフレピークがようやく見えてきた。米金融引き締めの終了が見えてくれば、米ドル高トレンドも終わりも近いか

 米国のインフレのピークが ようやく見えてきたようです。

 先日(1月18日)発表された米卸売物価指数は、前年比プラス6.2%上昇と前月(プラス7.3%上昇)からかなり低下しました。これはCPI(消費者物価指数)よりも低い数字です。これまで企業物価の上昇がCPIを引っ張り、インフレが加速してきましたが、逆転したということは、そのうちCPIも落ち着いてくるでしょう。

 これまで、インフレの要因には3つあると言われていました。 ひとつは、サプライチェーンの混乱。もうひとつは、 不動産価格上昇からくる家賃の高騰。 最後に労働賃金の上昇です。

 サプライチェーンはすでに落ち着いています。家賃の上昇も、CPIへの反映が遅れているだけであり、元となる不動産価格がすでに沈静化している以上、遅かれ早かれ沈静化します。最後に残っているのが「賃金上昇」だったのですが、賃金を大幅に上げて雇用を確保するという雇用主が少なくなってきたのでしょう。

 同様のことは以下のとおり、イエレン財務長官も発言しています

イエレン財務長官、米国のインフレに「極めて有益な兆し」
(出所:Bloombderg

インフレのピークが近いとなれば、引き締め政策の終わりも見えてくるということでしょう。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の記者、ニック・ティミラオス氏の最新記事では、今春にも利上げの一時停止を議論すると書いていましたが、今春ということは、2月、3月は0.25%ずつの金利引き上げを見て、5月にも利上げ停止の可能性が高いということなのかもしれません。

急激な米国の引き締め政策の終わりが見えてくるならば、米ドル高トレンドも終わりが近いということかもしれません。

米ドルVS世界の通貨 月足
米ドルVS世界の通貨 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 月足

ライブ配信!志摩力男

ユーロ/米ドルは長期ダウントレンドが終了した可能性

 ユーロ/米ドルは2008年7月に1.6035ドルの高値をつけ、そこから2022年9月の0.9536ドルまで14年下げが続きました。この長期ダウントレンドが終了した可能性があります。

ユーロ/米ドル 月足
ユーロ/米ドル 月足

(出所:TradingView

 欧州経済は、非常に良好というわけではありませんが、エネルギー価格が下落してきたこと、暖冬に助けられ、先日(1月24日)発表されたサービス部門PMIは50.7と、景気判断の分かれ目である50を超えてきました。

 ECB(欧州中央銀行)は今後もインフレ対応で引き締めを続けますが、2月に0.50%、3月に0.50%、5月に0.25%と合計1.25%の利上げが見込まれています。

 FRB(米連邦準備制度理事会)による追加利上げが、おそらく0.50%~0.75%と予想されているので、今後の引き締め幅はECBの方がより大きいことになります(ただし、最終的なターミナルレートは3.25%と予想され、おそらく4.75%以上となるFRBに比べると絶対的には低いレートにはなります)。

 米国は利上げの終わりが見えてきており、欧州は意外な踏ん張りを見せています。

中国経済は完全復活で、ユーロと豪ドルが上昇するシナリオが描けそう

 一方、もうひとつの大国、中国ですが、非常に厳格なゼロコロナ政策を一夜にして放棄し、規制をほぼ撤廃したために、14億の国民のかなりが短期間のうちにコロナ感染という状況となりました。

 しかし、「医療逼迫で厳しい状況になる」との観測とは裏腹に、あっという間に集団免疫を獲得しました。

 これで怖いものはありません。中国経済は完全復活することになりそうで、おそらく今年(2023年)は5%成長が見られるのではないかと予想されています。

 中国経済が復活するとなると、多くのブランド品を中国に輸出する欧州、そして鉄鉱石・石炭といった資源を輸出する豪州は恩恵を受けると想像できます。

中国経済の復活で、ユーロと豪ドルが上昇する、そういうシナリオが描ける気がします。2023年の経済は意外に明るいのかもしれません。米国経済は利上げの影響でリセッション(景気後退)の方向に傾いていきますが、利上げが止まるということは、株価には好影響です。

NYダウ 週足
NYダウ 週足

(出所:TradingView

 実際、今の米国株は、企業業績より金利水準に左右されている感じがします。

ライブ配信!志摩力男

日本経済の今後を占うのは、日銀総裁人事と5月の春闘

 そこで、我が日本経済はどうなるのか。少し前までは、リセッションに向かう欧州や米国よりも良い立ち位置にあると考えられていました。中国経済の再開はポジティブでしょう。しかし、すごく好景気になるかというと、そこは難しいかもしれません。

 日本経済の今後を占う上で、大きなイベントが2つあります。ひとつは次期日銀総裁が誰になるのか、です。もうひとつは5月の春闘でしょう。

 日銀総裁がどなたになるのか、それを予想するのは難しいです。岸田首相としては、アベノミクスから遠い人を指名したいのかもしれませんが、参議院の自民党は140名弱在籍し、そのうち40名以上が安倍派と報じられていました。スムーズに指名を終えたいのであれば、彼らに配慮した政策となりそう。

比較的、黒田路線に近い人が、新総裁になりそうな気がします。誰もが知っている、現副総裁の雨宮正佳氏、前副総裁の中曽宏氏でしょうか。

 そして、春闘ですが、「横並び」が得意な日本社会なので、大幅な賃上げが実現すればよいのですが、輸入企業は儲かっているわけではないので厳しいかもしれません。

米ドル/円はもみ合いか。リスクオン的な状況想定するなら、ユーロ/円は150円、豪ドル/円は100円もあるか

 こうしてみてみると、米ドルは米利上げ局面が終わるため、対ユーロ、もしくは対豪ドルで下落するかもしれません。株価は比較的堅調。リスクオン的な状況を想定しています。

 米ドル/円の見通しは難しいですが、基本的に現状から大きく円高方向に動くのも難しく、125~135円のもみ合いでしょうか。

クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は堅調になり、ユーロ円は150円、豪ドル/円は100円もありうるかなと予想しています。

ユーロ/円 週足
ユーロ/円 週足

(出所:TradingView

豪ドル/円 週足
豪ドル/円 週足

(出所:TradingView


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