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米ドル/円は125円を割り込む可能性も! 日銀は新たな
緩和手段を呈示したのに、なぜ米ドル/円は高値を維持
できず反落したのか? アベノミクスは事実上の終了!?

2023年01月19日(木)14:15公開 (2023年01月19日(木)14:15更新)
志摩力男

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週刊!志摩力男


日銀は金融政策の現状維持決定。海外トレーダーの7割が政策変更を予想していた

 1月18日(水)、日銀は金融政策決定会合において、政策の現状維持を決めました。

 前回会合では、突如YCC(イールドカーブ・コントロール)政策の変動幅を±0.25%から±0.50%へと拡大し、市場を驚かせました。「ダマされた!」と感じた海外ヘッジファンド勢は、今回も政策変更があるかもしれないと、この政策決定会合前にかなりの金額のJGB(日本国債)を売り、為替市場では米ドル/円のショートポジションを仕込みました。
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 多くの日本人エコノミストは、今回の政策決定会合では政策変更は無いだろうと予想していましたが、海外トレーダーの考えはまったく違い、おおよそ7割のトレーダーが政策変更を予想していたようです。

1月18日、日銀は金融政策の維持を決定。日本人エコノミストは政策変更はないだろうと予想していたが、海外トレーダーの考えはまったく違い、おおよそ7割のトレーダーが政策変更を予想していたという

1月18日、日銀は金融政策の維持を決定。日本人エコノミストは政策変更はないだろうと予想していたが、海外トレーダーの考えはまったく違い、おおよそ7割のトレーダーが政策変更を予想していたという (C)Bloomberg/Getty Images

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日銀の発表後に米ドル/円は131円台半ばまで急騰も、欧州勢参入で反落

 そして日銀から「政策変更なし」と発表された直後、米ドル/円は128.50円前後から130円台に一気に達し、そのまま131.60円前後まで上昇しました。

 日本国債の10年金利も0.50%に張り付いていたのが、0.40%前後へと緩みました。かなり事前にショートポジションができていたことを考えると、少なくとも133円前後ぐらいまでは上昇するのではないかと思われました。

 しかし米ドル/円は高いレベルを維持することができず、頭が次第に重くなり、黒田総裁会見中に一時131.20円前後まで上昇しましたが、欧州勢が参入してくると130円を割り込み、米PPI(生産者物価指数)の数字が予想よりも低いものとなると、そのまま127円台半ばまで崩れました。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:TradingView

米ドル/円はなぜ高値維持できなかったのか。どんな条件が揃えば上昇するのか?

 なぜ米ドル/円は高いレベルを維持することができなかったのか。

 黒田総裁の会見を聞く限り、次の3月の会合でも政策変更は無い、しかも今回は「共通担保資金供給オペ」という新たな金融緩和手段まで呈示してきました。それにも関わらず高値を維持することができなかったのなら、次にどんな条件が揃えば米ドル/円は上昇するのでしょうか。

 私はこれまで、いずれ米ドル/円は上昇するという考えをもっていました。米国のインフレ率が沈静化することは、ほぼ見えてきました。そうなれば、FRB(米連邦準備制度理事会)による引き締めもいずれ終わりを迎えます。

 日本は、今回の日銀政策決定会合では政策の進展はありませんでしたが、黒田総裁が退任され、新しい新総裁のもとに政策の正常化が進むでしょう。
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 そうなると、日米の金利差縮小で円高になりそうに見えますが、米国と日本の間には埋めがたい金利差があり、そのため「キャリートレード」的な資金の流れによって米ドルがサポートされると考えていました。

 しかし、そうならないということは、何か見逃していることがあるのでしょう。

米ドル/円の高値維持が続かなかった要因は米国サイドにあるのか?

 では、米国サイドにその要因があるのでしょうか? 

 昨年(2022年)の米ドル上昇は、米金融当局による利上げがその背景です。昨年(2022年)米国が急速なスピードで利上げしたのは、それ以上に速いペースでインフレが進行したからです。

 しかし、先日(1月12日)発表された米CPI(12月分)の結果を分析すると、依然として上昇を続けているのは「家賃」のみです。元となる不動産価格はすでに沈静化し、むしろ価格は下がっています。家賃は、CPIへの反映に時間がかかるため、しばらくは高めの数字がでるかもしれませんが、やがて家賃は落ち着きます。

 市場は今年(2023年)終盤にFRBが利下げすることを織り込んでいます。

 しかし、もしかすると、今年(2023年)の終盤ではなく、中盤ぐらいに利下げが始まるとしたらどうでしょうか。インフレの沈静化が驚くほどのスピードで進み、今年(2023年)の前半に問題ではなくなれば、夏には利下げ局面がやってくるというのは、現実的にありえなくもないシナリオかもしれません。

 多くの米企業がレイオフ(一時解雇)を発表しています。高い給料でなければ人を確保するのが難しかったという状況が一転して、労働者がだぶつく状況が迫っているのかもしれません。つまり、それは金融緩和局面が近いということです。

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アベノミクスは事実上終わっている!? 米ドル/円は125円割れの可能性もあるか

 そして日本の状況ですが、米ドル/円は150円という極端な円安に至り、為替介入という本来はやってはいけない荒業まで使いました。日本は資源の輸入国です。弱い通貨は、外からの輸入物価を跳ね上げます。

 ここに至ったのは、アベノミクスという政策のせいです。デフレからインフレへの道筋をつけるため、極限まで金融緩和を行いましたが、時間切れでしょう。日本の政局を見ると、アベノミクスから離れる道筋がすでにできている感じもします。

 新しい日銀総裁は2月前半に発表されます。その人はおそらく、アベノミクス支持者ではないのかもしれません。

 はっきりしたことはわかりませんが、非常にハト派的な日銀金融政策決定会合にもかかわらず、円高になったということは、日本の金融政策がはっきりと転換するからではないでしょうか。

 米ドル/円は125円を割れないとずっと考えていましたが、米国のリセッション(景気後退)が意外に近く、日本の金融政策が明確に転換するなら、125円を割れて円高が進む可能性も出てくるのかもしれません。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView


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