米ドル/円もクロス円も上値指向!ユーロ/円は145.85円への戻りは必至
米長期金利(米10年物国債利回り)が上昇しているなか、米ドル/円もクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も上値指向を強めている。主要クロス円の方が、揃って上放れのサインを点灯しているから、点検しておきたい。
まず、ユーロ/円を見てみよう。下の図に示したように、ユーロ/円は重要なレジスタンスゾーンを突破しており、またその上に定着する公算が大きい。
(出所:TradingView)
上の図に1番~5番まで番号を付けているが、5番は上放れのタイミングを記している。1番は元の重要サポートゾーンで、同じ水準にて2~4番までのレジスタンスと合致していた。換言すれば、大分、鍛錬されてきた分、上放れ自体が本物とみなせる。
もっとも、2022年12月20日(火)の大陰線(上図の矢印)の形成自体がかなりサプライズであった。言うまでもないが、当日いわゆる「黒田緩和修正ショック」があったから、仕方がないと言えばそれまでだが、底割れのリスクが強く意識された時点でもあった。換言すれば、円高トレンドへ転換していくリスクさえあったわけで、目下、観察される上放れのサインがいかに大事かと、改めて認識させられる。
そうなると、これからスピードの問題があるものの、基本的には2022年12月20日(火)高値145.85円への戻りは必至、また同高値の更新をもって元の基調へ戻っていくだろう。
繰り返しとなるが、昨年(2022年)12月20日(火)の「黒田緩和修正ショック」はサプライズであった。同サプライズなしでは、本来137円台前半への突っ込みはなかったはずで、元の基調へ戻っていくことは強気変動への戻りを意味する。約2カ月もかかった底値鍛錬があっただけに、ロング筋にとって仕掛けしやすいタイミングに恵まれると思う。
英ポンド/円は早晩167.06円を超えるか
同じ理屈で見るなら、英ポンド/円も底値鍛錬のレンジから上放れを果たしたと思う。
2023年2月21日(火)の大陽線は、新たな変動レンジ入りを示唆している。
(出所:TradingView)
また、約2カ月も安値圏でのレンジを形成してきただけに、今回の上放れを本物とみなし、早晩、昨年(2022年)12月20日(火)の大陰線(矢印)を否定(すなわち同日高値を再更新)するだろう。
同日高値は167.06円とかなり離れているように見えるが、底打ちが本物なら、同高値の再更新は必至とみなす。英ポンドであるだけに、想定より早く達成される可能性がある。
豪ドル/円もロングスタンスで臨むべき
ユーロ/円も英ポンド/円も、昨年(2022年)12月の「黒田緩和修正ショック」後の安値をもう1回割り込んで、新たな安値を形成してから底打ちしたが、豪ドル/円は違っていた。大分、安値圏での波乱があったものの、昨年(2022年)12月20日(火)の安値(下図の矢印)を割らずに、同日高値を早くも2023年1月末にて更新した。
(出所:TradingView)
これは構造上の強みであり、また優位性であるが、目先、十分効いているとは言い切れない。しかし、だからこそ、これから豪ドル/円の上昇余地が実に大きいのではないかと思う。
もう1つ大事な視点として、豪ドル/円は「黒田緩和ショック」前まで日足では「三尊天井(※)」のようなフォーメーションを形成していた。
(※編集部注:「三尊天井」=「三尊型」。「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
(出所:TradingView)
2022年12月20日(火)のサプライズで重要なサポートゾーンを一気に下放れし、同フォーメーションを成立させたように見えたが、結果的に再度の安値更新なしで戻ってきたので、下放れ自体が「ダマシ」であることを示唆。
実際、前述のフォーメーションが成立する場合は、83、84円台へ下値余地を拡大する可能性が大きかった。
しかし、87円の節目を守り、また再度元サポートゾーンの上に浮上してきたから、元の基調へ復帰してくる公算が大きい。
この場合は前述の「三尊型」の見方で測ると、まず95円台(三尊型はヘッド&ショルダーズとも言われるが、いわゆるショルダーと見なされる位置)への戻りを推測できる。いずれにせよ、上値指向が強く、ロングスタンスで臨むべきだと思う。
クロス円の上値余地が大きい、という観測が正しければ、米ドル/円の上昇なしではありえない。となると、従来の想定より米ドル/円の上値が一段と拡大される可能性がある。このあたりの話は、また次回、市況はいかに。
2023年2月23日(木) 23:00執筆
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