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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

ユーロ/円をひとまず押し目買い! 「ノーランディング」
で株が強く、米ドル/円が下がらないなら、上がるのは
クロス円。レンジ上抜けで、144円台乗せならよさそう

2023年02月20日(月)15:42公開 (2023年02月20日(月)15:42更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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利上げしながらも経済成長が続く、「ノーランディング」はファンタジーか?

このところ、「ノーランディング」がキーワードとなっていますね。

FRB(米連邦準備制度理事会)が金融政策を引き締めながら、景気をゆるやかに後退させる「ソフトランディング」と、昨年(2022年)は言われていましたが、バークレイズのストラテジストは、利上げしながらも経済成長が続くノーランディングを主張しているそうですね。

「ノーランディングなんてファンタジー」と一蹴する声もあり、さまざまな意見が飛び交っています。


利上げについては、3月で打ち止めと織り込まれた時期もありますが、5月、さらには6月までの利上げも織り込まれ始めました。

米ドル/円の上昇は、米2年債利回り次第に

1月分の米雇用統計、そして米CPI(消費者物価指数)も強い数字となりました。


ただ、1月分の数字は季節調整の関係などでブレやすいですから、「2月分の数字を確認したい」との声もあります。

結局、利上げの行方は、パウエルFRB議長が繰り返す「データ次第」ということですね。


米ドル/円は上がってきたものの、米2年債利回りが先週半ばから足踏みを続け、135円台で頭打ちとなっています。

米2年債利回りは昨年11月高値の4.79%を超えていませんが、より短期の米3カ月債や米6カ月債、米1年債などは昨年高値を超えています。


米2年債も、ここから高値を超えてくる可能性もありますよね。

ターミナルレートが上がっていますから、米2年債利回りが5%台にのせてもおかしくないのですが、思ったほど上がらない。


米2年債利回りが上がってこないと、米ドル/円も上値を伸ばしにくいですね。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は高値を追わず、押し目を待つ方針に徹したい。2週間で6円以上も急騰したが、ここからの続伸には米国の2年債利回りのさらなる上昇が必要に!(2月16日、西原宏一)

米ドル/円&米2年債利回り 日足
米ドル/円&米2年債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

2月24日は、日銀総裁候補の植田さん所信聴取や米PCEデフレータに注目

今週、2月24日(金)に発表される、インフレ指標の米PCEデフレータがどんな数字になり、金利がどう反応するか、ですね。


そして、同日午前には日銀総裁候補の所信聴取。並々ならぬ注目が集まっていますね。


「緩和継続」「YCC(イールドカーブコントロール)修正は時期尚早」といったヘッドラインが出るようだと、米金利に頼らずとも、米ドル/円は上がるかもしれません。

RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は、2021年にYCCを突然撤廃しました。


植田和男さんとロウRBA総裁は、米MIT(マサチューセッツ工科大学)の同門。


日銀もRBAのように突然撤廃するのでは、との見方もあります。

「YCC修正観測が広がると、事前にオペ売りが殺到し、投機的な混乱を招く。YCCを修正するくらいなら撤廃すべき、それでも金利は1%程度までしか上がらない」との見方もあります。


このロジックで、黒田体制での最後の会合となる3月会合で、YCC撤廃を予想する向きも意外と少なくないようです。

そうした意見はありますが、そう主張する人も、米ドル/円をショートに傾けるほどでもない。


いずれにせよ、昨年末から日銀関連のヘッドラインは、ノイズとなることが多いため、注目はやはり米金利でしょうか。

見方分かれるRBNZ、波乱の予感

今週、2月22日(水)にはニュージーランドの政策金利が発表されます。

コンセンサスは0.5%か0.25%の利上げですが、モルガン・スタンレーは「0.75%利上げの可能性を排除するのはリスク」としています。


ニュージーランドの第4四半期CPIは、前年比7.2%とかなりの高水準。


RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])はインフレターゲット政策を導入していますから、インフレ率がこれだけ高いと、0.75%利上げの可能性もありえなくはない

ニュージーランドでは、サイクロンによる被害が甚大で、史上3度目となる非常事態宣言が発令されました。


過去2回の非常事態宣言では、利下げしているそうです。過去の経験則にならって今回も利下げに警戒を、との分析もあります。

利下げという予測は聞いていませんが、ウルトラCとして、据え置きの可能性はゼロではないですね。


今回のRBNZ会合は見方が一致しないだけに、ボラティリティ拡大に要注意です。

レンジ上抜けのユーロ/円に注目

今週の戦略はどう考えますか?

ノーランディングならば、株が強くリスクオンとなり、米ドルが売られるものの、米ドル/円がそれほど下がらないなら、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上がるということになります。


とはいえ、RBNZ会合を控えていることもあり、オセアニア通貨は様子を見たいし、英ポンドには中長期で弱気なので、消去法的にユーロ/円ということになります。

ユーロ/円はチャートの形もいいですね。レンジを上抜けてきました。

先週(2月13日~)から、年初来高値の143.67円で止められていますが、ここを抜けて、144円台にしっかり乗せてくるようだといいかもしれません。


さらに伸びるには、ユーロ/米ドルの上昇も必要なので、消去法的な選択ではありますが、今週はひとまずユーロ/円の押し目買いでしょうか。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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