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西原宏一_メルマガ取材記事
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

円売りの「黄金時代」は、すでに終わっている可能性も!
これ以上の円安は、世界経済にとって不都合な存在!?
米長期金利は大型上昇波の最終段階、そろそろ頭打ちか

2023年09月22日(金)17:58公開 (2023年09月22日(金)17:58更新)
陳満咲杜

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ドルインデックスと米長期金利の相関に陰り? 長期金利は頭打ちか

日銀は、政策維持を決定した。市場のコンセンサスのとおりだったので、特に言うことはないが、FOMC(米連邦公開市場委員会)通過の直後だったので、総合的に見る必要がある。

 FOMCも今回の利上げを見送ったが、来年(2024年)の見通し(ドットチャート)が修正され、FOMCメンバーらは、より長い期間に渡る高金利の維持を支持している模様だ。

 ゆえに、米ドル買いは一段と進み、同じく金利据え置きの英ポンドは大きく売られたわけだ。

 一方、執筆中の現時点で、ドルインデックスは高値更新していない上、米ドル/円も148円台に留まり、言われるほどの勢いはない。米ドル全体は確かに強いが、もう最終段階に差し掛かっているのでは?と疑われる。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 何しろ、米長期金利の代表格である米10年物国債利回りは、現時点で4.511%まで上昇、2007年10月以来の高値をトライした。

米10年物国債利回り 日足
米10年物国債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

 FOMC通過で米金利の高止まり観測がもたらした米長期金利の急伸に、米ドル全体が比例したパフォーマンスを見せていないから、いわゆるダイバージェンスの現象が見られる。

 ドルインデックスの値動きに照らして考えると、7月後半から一貫して大きく切り返してきたのは、米長期金利の急騰とリンクした現象であった。

 つい最近まで、ほぼ比例した上昇が見られてきただけに、最近の「ダイバージェンス」は、そろそろ転換してくる可能性を示唆しているのではないか。ゆえに、筆者は、米長期金利の行き過ぎを有力視し、そろそろ頭打ちとなって反落してくる、というシナリオを提示したい。

米長期金利の急騰は、大型上昇派の最終段階にあることが理由か

 そもそもFOMCメンバーとはいえ、金利の見通しが大した精度を持たないことは、過去の例から見れば一目瞭然だ。この言い方は別に意地悪ではなく、歴然とした事実なので、FOMCのドッドチャートを盲信する必要はない。

 また、このような言い方は、FOMCメンバーにとって不公平かもしれない。現時点の材料をもって予測しているのだから、状況が変われば予測も変わるわけなので、来年(2024年)の金利の見通しなど、本当のところ、誰も確信を持てないはずだ。

 今回、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げは、そもそもインフレ高騰が一時的という判断ミス(2021年3月1日パウエル議長の記者会見)があったからこそ、想定より長く、また想定より大きなスパンをもって進行してきた経緯があった。状況次第で、来年(2024年)の金利見通しなんかは、いくらでも修正される余地があるから、気にすることはない。

 それでも米長期金利が急騰しているのは、ほかならぬ、2020年3月安値を起点とした大型上昇波の最終段階にあるからだ。言ってみれば、米長期金利上昇のクライマックスの段階に位置するから、今回のFOMCという材料により敏感に反応したと思われる。

米10年物国債利回り 日足
米10年物国債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

 そうなると、ドルインデックスの伸び悩みは実に「理にかなう」ものかもしれない。7月後半から連続9週間の上昇自体、「陽の極」の状態なので、FOMCや日銀会合の通過をもってよいタイミングに差し掛かる、という可能性が示唆されたと思う。

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足チャート

(出所:TradingView

 そのタイミングとは、ほかならぬ米ドル高の一服、また、反落のタイミングであろう。この場合、主要外貨のユーロは、一番注目されるはずだ。言ってみれば、ユーロの切り返しの有無が重要な指標となる。

 ユーロ/米ドルは、1.06ドルの節目を守ることができれば、連続9週間の下落がいったん終焉し、そろそろ切り返してこよう。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足チャート

(出所:TradingView

円売りのトレンドはどこかで終焉? 「黄金時代」はもう過ぎた!?

 半面、円は最弱な外貨としてたちまち買われることはないから、ユーロ/円は高値圏での保ち合いからやっと上放れのチャンスを得られるだろう。160円の心理的大台のブレイクは既定路線なので、いったん実現される公算大。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:TradingView

 ただし、円売りのトレンドはどこかで終焉する可能性も意識されるだろう。我々のシナリオ、すなわち米長期金利の上昇が近々頭打ちになれば、米ドル/円もリンクして頭打ちになりやすいから、手放しで円を売れば儲かる市況ではなかろう。

 少しマクロ的な視点で言えば、円は現在「陰の極」の状況にあり、下値余地が限定される可能性が大きい

 BIS(国際決済銀行)の統計によると、円の実質実効為替レートは、すでに史上最安値を記録したから、これ以上の円安があれば、むしろ世界経済にとって不都合な存在になってしまう恐れがある。

 このようなマクロ的な視点は、たちまち相場におけるロジックにはなれないが、相場の均衡を脅かす問題になっただけに、油断できない。もちろん、日銀介入のリスクもあって、円売りの場合、常に警戒する必要もある。

 この意味合いでも、円売りの「黄金時代」はもう過ぎたかもしれない。市況はいかに。

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