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春節(旧正月)前後に相場の方向性を決める出来事が毎年起こる
毎年12月頃になると、「来年の相場はどうなりますか?」というリクエストが多くなります。マーケットの先行きを占うことは大好きなのですが、年末に予想することは大概ハズレます。
どうしてなのかわかりませんが、毎年、旧正月(春節)の前後に、その年の方向性を決定づける大きな出来事が起こります。
要は、それを見てからその先の1年を考える方が間違いなさそうです。
2020年は新型コロナウィルスが発生しました。
2021年は、ジョージア州の上院選挙が決選投票になり、民主党が2議席獲得したことで、大統領・上下両院を民主党が抑えるという「トリプルブルー」となり、容易に財政拡大できたことが、その後のインフレを招きました。
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2022年はロシアによるウクライナ侵攻がありました。
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2023年は、米銀行破綻もあったのですが、2月3日(金)の米雇用統計において51.7万人増という非常に力強い数字が発表され(市場予想18.5万人、前回22.3万人)、そのまま米ドルが上昇していきました。
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2024年はどうなる?目先はFOMCと米雇用統計に注目
さて、今年(2024年)はどうなるのか。
その意味において、1月31日(水)開催(日本時間2月1日午前4時発表)のFOMC(米連邦公開市場委員会)、そして2月2日(金)に発表される米雇用統計は注目されます。特にFOMC後にパウエル議長が利下げに関してどのように発言するかが注目されるでしょう。
これまでの流れを確認すると、
11月28日(火)、ウォラー理事は「標準的なテイラールールに基づけば(中略)、インフレ率が本当に低下方向に向かっていると確信が持てれば、景気回復などとは無関係に、インフレ率が低下したという理由のみで政策金利を引き下げ始めることができる」と述べ、利下げへの議論の先鞭をつけました。
ところが12月1日(金)、パウエル議長はスペルマン大学での講演で「金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ」と発言し、ウォラー理事の発言を否定しました。
しかし、そのパウエル議長、12月13日(水)のFOMC後の会見で「利下げの時期が次の問題だ」と発言し、市場を驚愕させました。
12月13日(水)のFOMC後の会見で、パウエル議長は「利下げの時期が次の問題だ」と発言し、市場を驚愕させた(C)Bloomberg/Getty Images News
これで利下げ観測が急速に進んだのですが、NY連銀総裁ウィリアムズ氏はその流れに抵抗しました。12月15日、CNBCとのインタビューにおいて「現時点では、われわれは実際に利下げについて話し合っていない」とし、利下げについて推測するのは「時期尚早」と語ったのです。
私も見ていましたが、あの温厚なウィリアムズNY連銀総裁が怒っているかのようにムスッとしていたのを覚えています。
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FedWatchでは3月利下げ確率が50%割れ。FOMC後の会見でパウエル議長は何を語るのか?
ただ、マーケットはウィリアムズNY連銀総裁発言にはあまり反応しませんでした。市場全体は、パウエル議長が言う「利下げ」に走り始めていたと言えます。
そのウィリアムズ氏も1月10日(水)には、「インフレ圧力が弱まる中、利下げは理にかなっている」と発言し、利下げ議論に理解を示しました。利下げ開始時期については「答えられない」としました。
こうして利下げ議論の方向性が固まるかに見えたのですが、1月16日(火)、今度はウォラー理事が利下げ議論に冷水を浴びせます。
米ブルッキングス研究所向けの講演で「ここ数カ月の経済指標で、連邦公開市場委員会(FOMC)が2024年に利下げを検討することが可能になっている」と言及しつつも、政策変更は「慎重に調整されるべきで、急いではならない」としました。
言い出しっぺのウォラー理事が拙速な利下げを牽制したことで、利下げ議論は収束しつつあります。市場の利下げ織り込みも、3月の利下げが一時80%を超えましたが、今は50%を割り込み、5月もしくは6月利下げの方向に傾いています。
(出所:CME)
こうなってくると、FOMC後の会見でパウエル議長が何を言うかが問題となってきます。
利下げに対して慎重な見方を提示し、米金利は堅調、米ドル高となりますが、株価には少しマイナスという展開になります。
反対に、利下げが強調されれば、米金利低下、米ドル安、株高という展開になるでしょう。
今週(1月29日~)のイベントに注目です。
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