■市場はまた不安定な状況になってしまった
再び、地政学リスクが金融市場を混乱に陥れています。
言うまでもなく、中東諸国での民主化の動きです。
アルジェリアから始まって、その後、周辺諸国に広がった民主化の流れは、長く続いていたエジプトのムバラク政権を崩壊させました。
そして、今度はリビアです。リビアはOPEC(石油輸出国機構)の5~6%を占める石油産出国で、ここで混乱が起きていることで、原油価格が高騰しています。
原油価格が上昇するとなると、資源国通貨が上昇しそうなものですが、今回はリスク回避の動きからポジション縮小が先行しており、むしろ、それまで上昇傾向にあった豪ドルなどの資源国通貨は下落しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
株価も同様です。原油価格上昇による企業業績へのマイナスの影響という面もありますが、リスク回避の動きに伴う株売りということが大きく影響しており、NYダウも日経平均株価も軟調になってきました。
(出所:株マップ.com)
それまで、なんとなく世の中が安定しそうだったのが、また不安定な状況になってしまったということです。
リビアの情勢がどうなるか、まだ先が見えないだけではなく、各国での民主化の流れの後、本当に安定に向かうのかもよくわかりません。
場合によっては、無政府状態になって今まで以上に混乱してしまうかもしれません。
当面、金融市場も混乱が続きそうです。この出来事が起きる前は、市場は少し円安方向に向かうのではないかと思っていましたが、頭を切り替える必要がありそうです(「豪州は今年春頃に再利上げを行うと予想!相場全体は緩やかに円安に進んでいきそう」を参照)。
■当面は中東情勢の動向を注視する必要がある
さて、個別の通貨を見てみましょう。
まず、中東情勢の混乱でアメリカの長期金利(10年もの国債の金利)が急低下していることで、米ドルに売り圧力がかかっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
特に、対円では84円台にまだまだ売り注文がまとまってあるため、上値が重い。短期的には、米ドル/円の戻り売り戦略はより有効になってきたと思っています(「日本国債格下げ後の動きで円買い需要の強さが確認できた。米ドル/円は戻り売り!」を参照)。
また、地震の影響もあって、NZドルが下落しています。
ニュージーランドは景気がなかなか上向いてこない状況にありましたが、地震がさらに景気に暗い影を落としており、一部には3月に利下げするのではないかという観測も出てきています。
したがって、NZドルは下がったからといって、安易に買わないほうがよいのかもしれません。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 日足)
また、ユーロと英ポンドはインフレ進行を受けて利上げの可能性が高まってきており、その影響でやや強めに動いています。
ただ、これらの国も中東情勢の影響を受けており、買い材料と売り材料がぶつかり合って、乱高下するかもしれません。
いずれにしても、当面は中東情勢の動向を注視しながら、慎重に取引する必要がありそうです。
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