震災直後の金融マーケットはかなり荒れた動きを見せていましたが、徐々に落ち着きを取り戻してきています。
それでは、先週のコラム以降の動きから振り返ってみましょう(「なぜ、日本国内で経済的な危機が起きると円買いが起こりやすいのか?」を参照)。
■米ドル/円は「売りが売りを呼ぶ」展開で急落した
まず、前回のコラムにも書きましたが、75円から80円にかけて大量のオプション関連などのトリガーがあったために、3月17日(木)の相場は売りが売りを呼ぶという状況になりました(「なぜ、日本国内で経済的な危機が起きると円買いが起こりやすいのか?」を参照)。

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個人投資家の円売りの逆指値注文がさまざまな通貨に対して並んでいたことも、円全面高の動きを勢いづけることとなりました。
それまでの米ドル/円の史上最安値は1995年4月19日につけた79.75円でしたが、「これよりは下げないだろう」という油断もマーケットにはあったのかもしれません。
■協調介入後は安定して推移している
しかし、その後の相場の動きは一変します。
翌18日(金)に、G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の臨時電話会議が行われ、10年半ぶりとなる各国中央銀行による協調介入が行われることとなりました。
昨年9月15日も「円売り」の介入が行われましたが、あれは日本だけで行う単独介入でしたので、今回の協調介入は、日本のみならず、他国の「お墨付き」をはっきりもらった上で介入を実施したのです。

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米ドル/円は3月17日(木)に76.25円まで下げたものの、すでにオプションのトリガーやストップロス(損切り注文)があらかた整理され、何もないところに協調介入が入りました。
そのため、比較的大きなインパクトとなり、その後は81円台まで上昇し、安定して推移しています。他のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も落ち着いた動きとなっています。
■円相場は再びこう着状態に入ってしまいそう
このように動いた後ですから、円高へのリスクは少し落ち着いてきたように思います。
為替相場の動きも緩慢になっているため、ここからさらに円安方向にもっていくような介入は行われないでしょう。日本政府も今の様子を静観すると思います。

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また、外国人投資家あたりが日本の機関投資家のリパトリエーション(海外資産の清算)が実際に起きるのかという点に注目しているようですが、これもすぐに起きるような様子ではなさそうです。
ただ、米ドル/円については、日本の輸出企業が82円台から上に売り注文を並べているようですので、これらを加味すると、円相場は再びこう着状態に入ってしまうと考えています。
■ユーロの急落はなさそうだが、安易に買うのは避けたい
一点注意したいのがユーロの動きです。
本日、3月24日(木)に格付け機関のムーディーズが、スペインの銀行の格付けを引き下げました。
また、前日の23日(水)に、ポルトガル議会が緊縮財政策を否決しました。ポルトガルのソクラテス首相は緊縮財政が野党から支持されない場合、ギリシャやアイルランドのように救済を求めるとしています。
これらを受けて、ユーロ相場は売られる動きとなっています。

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ユーロ/米ドルはこれまでに値を伸ばしていたので、少し売りが出たのは、これまでの調整が進んだ面もあると思いますし、スペインの銀行の格下げくらいでは、大きな動きにはならないでしょう。
ここから大きく下げていく可能性はあまり考えていません。
ただ、ポルトガルの緊縮財政策の否決は、今後の懸念材料として注目される可能性があります。
これまで上げていたからと言って、安易にユーロを買うのは避けたいですね。
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