加えて、海外勢は東京の電力不足で経済が停滞することを懸念しています。
これらのことを受けて、徐々に円安が定着するという見方が増えているようです。
しかし、上記の材料だけでは、米ドル高が進んでも85~86円までの予想にとどまります。ヘッジファンドの友人も「2monthで85~86円のオプション」を物色しているといった状況。
現在の米ドル高の動きがメイントレンドとなるためには、もう1つ、ファンダメンタルズの変化が必要なようです。
■米ドル高の流れとアメリカの出口戦略
さて、前回のコラムでご紹介させていただいたように、2000年の「ユーロ買い」の協調介入時は、最終的にユーロ金利の変化という追い風がユーロ/米ドルの流れを一転させています(「米ドル/円は中期的に円安の流れへ。76.25円への急落が『陰の極』だった可能性」を参照)。
今回も、アメリカの出口戦略が明確になれば、米ドル/円の上昇に弾みがつくことになります。
この点においては、先週から、何人かのFRB(米連邦準備制度理事会)当局者が、国債買い入れプログラムについてコメントしています。
たとえば、セントルイス連銀のブラード総裁が3月29日(火)に、「景気改善の兆候によって、金融当局が国債購入の規模を縮小させる可能性がある」との認識を示しています。
同総裁は3月26日(土)にも、「当局は国債購入プログラムの早期終了を検討すべきだ」とコメントしています。
また、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁も、「政策当局は近い将来、出口政策が必要になる」と発言しています。
ただ、もともとタカ派の人がタカ派のコメントをするのは当然であり、それに対してマーケットが反応するのは、納得できないものがあります。
ところが、アトランタ連銀のロックハート総裁、シカゴ連銀のエヴァンス総裁も意見を述べており、FRB当局者による量的緩和政策に関しての発言が多くなっているのは確かです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
現在、マーケット参加者の多くが、米ドル/円に注目しています。
協調介入をきっかけとして「米ドル高・円安」の流れになっていますが、これがトレンドになるかどうか、アメリカの出口戦略の行方に注目です。
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