昨日のユーロの利上げは、あまりにも想定通りだったので為替市場では動きらしい動きを示さなかった。ユーロドルも発表の前後では50ポイントほどの小さい値幅にとどまった。注目を集めたトリシェ総裁の会見も、「今後の利上げは未定」とし、どちらかというと利上げが続くと期待していた向きのある観測が一歩も二歩も後退した感じとなった。ユーロドルは1.43ちょうどをはさんでの小動きに徹した。
そうした中、夜中に地震が起きた。東京でも結構揺れた。先月の地震以来の大きな揺れだった。為替相場の反応は最初のうちはリスク回避で動き、ドル円は下落方向で対応した。しかしグローベックスでの日経先物が東京クローズよりも200円幅ほどの下落を見せ出したあたりから、かえって日本売りの相場展開となり、ドル円は反転、上昇に向かった。朝がたには完全に85円台を回復。
そこで本日の見どころは、昨夜の地震のインパクトを確かめることにあった。すなわち、どの程度にまで日本売りが進むかということ。円安はどこまで行くのか。日本株の差し込みは。しかし今朝からの相場は、私の考えていたのとは違った形で展開することになった。
日本株は下げを見るどころか、開始直後から猛烈な買いに支えられて値を飛ばす。公的資金によるPKOだろうとは思うが、下がるときに下げておかないと、ヘッジツールとしての役割も現象するわけで、長期的には日本株の価格形成に対する信頼を大いに損なうことにつながる。それでも役所仕事みたいにして、やり出したら止まらない。
株価動向を見ながら円相場に臨もうと思っていたプレーヤーも手が止まってしまったようである。ドル円かユーロ円でも買って攻めようと思っていたのが、株だけ上がってしまうと素直な日本売りが出来ない。私もそうした一人だった。
そうこうするうちにユーロドルが昨日の高値である1.4336を上抜けしてきた。昨日のユーロの利上げ後のユーロドルの値動きがあまり芳しくなかったので、マーケットも気が抜けていたのかもしれない。ユーロドルは買い戻しのストップ注文を連発する形で急上昇を始めた。1.44台に軽くタッチして、その後もなかなかゆるまなかった。ユーロドルの上昇につられる形でユーロ円も上昇。当初に想定していたようなドル円が主導の円安ではなかったが、ともかくも円安の方向には動き出した。
ただし、ちょっと何ともなぁと思うのは、ユーロドルのブレークがアジア時間に起こったということだ。これは恒例のことだが、しょせんはユーロもドルもアジアとは関係のない通貨。それがアジア時間に勝手にレンジをはみ出して動き出しても、それはすぐにも反転するのだといった経験則がある。
それゆえに私もここでユーロ円やユーロドルのロングについていきにくいのだ。結果として、出遅れになったとしても、もうちょっと欧州時間でのリアクションを見てから手を出したい。少なくともロンドンのランチタイムまではユーロ買いしたくても我慢だ。
今晩はアメリカの経済指標はほとんどない。したがってロンドンの午後から、すなわちニューヨーク時間からは純粋なポジションによる動きになるだろう。ただしジンクス的にはユーロドルの噴き値売りなのだが、いかがなものだろうか。
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