ドイツは新たなギリシャ支援パッケージのコストの一部を債券保有者に負担させるよう主張していますが、これに対して、ECB(欧州中央銀行)はユーロ圏初のソブリン債のデフォルト(債務不履行)に相当する恐れがあると警告しています。ちなみに、フランスはECBを支持しています。
また、ギリシャ政府がここまで行ってきた取り組みの効果に疑問符がついています。
ギリシャの財務省が6月14日(火)に発表した中央政府の1~5月期財政赤字(暫定値)は103億ユーロとなり、前年同期の91億ユーロから拡大してしまいした。
さらに、ギリシャの2大労働組合が予算削減と国有財産売却に反対し、デモを繰り返していることも不安材料です。
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こうしたこともあって、格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)はギリシャの格付けを世界最低のレベルまで引き下げてしまいました。
ギリシャの10年もの国債の利回りは、なんと17%台半ばまで上昇しています。問題はより深刻化しているということです。
■中国の物価上昇と金融引き締めも気がかりな材料
3つ目は中国リスクです。
中国政府が発表した5月分の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で5.5%の増加となっています。これで、3月分のプラス5.4%、4月分のプラス5.3%に続いて3カ月連続の5%超えとなりました。
中国政府の目標であるプラス4%以内に収めるということは、非常に難しくなっています。
さらに中身を詳しく見ると、食品価格の上昇がプラス11.7%と際立っていて、住宅の賃貸料がプラス7.2%とこれも平均値を大きく上回っています。
つまり、日常生活に密接に係わるセクターの価格上昇率が激しくなっており、庶民の生活が苦しくなっていることがわかります。
そうなると、中国政府は物価上昇を抑えるために、今後も金融引き締めをせざるを得なくなります。
当然、これは景気にはマイナスとなり、中国株はこうしたことを反映してさえません。上海総合株式指数は年初来4%以上のマイナス、深セン総合指数にいたっては年初来14%以上の下落となっています。
■当面の株式市場は、強気相場に向かいにくい
最後は言うまでもなく、日本の震災の影響です。
特に、原発問題に関連した電力不足が大きな足かせとなっています。
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北米、欧州、アジアと3大経済圏にそれぞれ、アキレス腱がある状況では、当面の株式市場が強気相場に向かうのは難しいでしょう。
そうなると、為替市場では「株高→円安」という流れにはなりにくいという結論になると思います。
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