今回は、少し「そもそも論」をしたいと思います。
世界のどこかで経済的な問題が起きると円高になりやすいということは、皆さんも何となく感じているのではないかと思います(「なぜ、日本国内で経済的な危機が起きると 円買いが起こりやすいのか?」も参照)。
それでは、どうして、そうなるのでしょうか?
■世界経済が停滞すると、なぜ円高になるのか?
よく、アメリカや欧州の経済が悪すぎるので、相対的に景気の良い日本にお金が集まってくるからだという説明を、いろいろな人が言っています。
本当にそうでしょうか? 皆さん、日本の景気のほうが他の国より良いと思いますか?
私は、もっと根本的な問題だと思います。これは野村証券の田中泰輔さんもよくおっしゃっていますが、「世界経済が停滞すると債権国の通貨が買われる」という説明が、いちばん正確だと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日本は毎年十数兆円の経常黒字を稼いでいます。その稼いだお金の一部を海外に投資しています。その結果、日本は海外に対して200兆円以上の純債権を持っています。
一般的に、経済が停滞すると投資行動も停滞します。そして、できるだけ、手元に資金を確保しておきたいというバイアスも働きます。
つまり、世界経済が悪くなると、日本からの投資が鈍り、状況によっては、逆に資金を国内に戻す、いわゆる「リパトリエーション」が起きることもあります。
足元では、アメリカの経済は停滞してきています。日本の景気も良くありません。欧州はギリシャの財政問題に加えて、景気まで悪くなってきました。
それが、投資行動の停滞、資金のホームバイアスを加速させて、結果として、円高になっていると考えればすっきりするのではないでしょうか?
■米ドル/円は79円台でのショートメイクを基本軸に!
以上のような前提に立って考えると、今後の円相場の行方は、世界経済がどうなっていくかに左右されるということになります。
私は今のところ、アメリカ、欧州ともに経済の見通しをやや悲観的に見ています。ですから、基本的には円安には傾向としてなりにくいと思っています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
オーストラリアの中央銀行も、今後しばらく金利は上げないというニュアンスに変わってきました。世界経済が停滞している影響だと思います。
ですから、これも円安にはなりにくい要因になると思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
こうした基本認識の下で、このコラムで推奨し続けているユーロ/円、英ポンド/円の戻り売り、ないしは、米ドル/円は79円台でのショートメイクを基本軸としておきたいと思います。
ユーロ/円ならば113円台、英ポンド/円ならば129円台あたりまで戻るようなことがあったら、一度は売りで攻めてみたいですね。
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