■米ドル/円はついに76.25円までほぼ到達
7月の米雇用統計をきっかけに始まった米ドル/円の下落は、歩みは遅いながらも着実に値を下げ、このコラムでご紹介してきたターゲットの76.25円についにほぼ到達(「マーケット混迷で避難通貨の円に脚光! ドル/円は76.25円へ向けジワジワ下落か」などを参照)。
他通貨に目を向けるとゴールドと並んで、ファンド勢注目の最強通貨スイスフランは今週に入って上昇が加速。
8月3日には、ユーロ/スイスフランで1.0796フラン、米ドル/スイスフランで0.7610フランまでスイスフランが急騰。


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スイスフランは円に対しても上昇が止まらず、スイスフラン/円は一時101.91円まで高騰しています。

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特にユーロ/スイスフランは、友人のファンド勢が数ヵ月先の目標としていた1.08フランにあっさりと到達。
そして、マーケットでちょっと過熱感が漂うムードの中、とうとう中央銀行が動き出しました。
■スイス国立銀行のスイスフラン高抑制策で相場急変
止まらないスイスフラン高にスイス国立銀行(SNB)も業を煮やし、ついにスイスフラン高抑制策を発表。発表された内容は下記のとおりです。
・スイスフラン相場を注意深く監視
・スイスフランは現在、大幅に過大評価されている
・現在のスイスフラン高は経済成長に悪影響
・3ヵ月LIBOR誘導目標をできるだけゼロに近づける
一連のスイスフラン高牽制コメントに、スイスフランは急落。
ユーロ/スイスフランは1.0796フランから1.1149フランまで上昇(ユーロ高・スイスフラン安)、米ドル/スイスフランは0.7610フランから0.7789フランまで上昇(米ドル高・スイスフラン安)しました。


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また、スイスフランは対円でも急落しており、スイスフラン/円は101.33円から99.08円まで急落しています。

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ただ、マーケットが落ち着くと、相場は再びスイスフラン買いへ。
そして、マーケットが本日のSNBの動向に注目していたところ、本日のアジア市場では日本銀行(日銀、BOJ)が米ドル/円市場へ介入。
■そして、日銀もついに介入へ
連日メディアで円高が報じられる中、本日の東京市場前場に日銀が市場介入を断行。
日銀は78円台前半から途切れなく米ドル買いを続けているようで、本稿執筆時点では、79.37円まで米ドル/円を押し上げている模様。

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野田佳彦財務相の記者会見によれば、介入は「単独介入」。
加えて「日銀も問題意識は共有している。適時適切な対応をしていただけるものと期待している」ともコメントしているので、本日の日銀金融政策決定会合の後、日銀からなんらかの金融緩和策が発表される見込み(※)。
(※編集部注:本稿寄稿後に、日銀は資産買い入れ等基金の総額を40兆円から50兆円に増額する、さらなる金融緩和策を発表しました)
■なぜ、今回の「スイスフラン高抑制策」は効いたのか?
さてこの通貨高抑制策の効果ですが、まずスイスフラン。
思い起こされるのが、2010年のSNBによる介入。
昨年、SNBは「ユーロ安・スイスフラン高」を抑制するために、断続的にスイスフラン売り介入を続けましたが、スイスフラン高は収まりませんでした。

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次第に国内から介入によるSNBの為替差損を非難する声が高まり、結局SNBは「介入でのスイスフラン高抑制策」を断念しています。
マーケットでは、このことが記憶に新しいため、今回のSNBの通貨高抑制策についても疑問視する参加者が多数。
ただ、今回の通貨高抑制策が行われたのが、ユーロ/スイスフランの1.08フランというレベルであることは要注意です。
前述のとおりユーロ/スイスフランの1.08フランはいくつかのヘッジファンドのターゲット。
そのためSNBの通貨高政策が発表になる前から、彼らはユーロ/スイスフランのショートを縮小し始めていました。
通貨高抑制策に加え、彼らの利益確定によるスイスフラン売りも重なり、今回は、当面スイスフラン高を抑制できるのではないでしょうか?
一方、米ドル/円も震災後の米ドルの安値76.25円近くまで下落した後の介入だったこともあり、本日の介入は非常に効果的。
■米ドル/円が80円台を回復できるか? それがカギを握る!
ただ、グローバルな金融市場が混乱する中、スイスフランと円の大きな流れが変わるのかについては疑問。

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米ドル/円が本格的な反発に転じるには、「米経済の回復と、米金利の上昇」が重要なのですが、これについては8月5日(金)に発表される米雇用統計が重要なカギを握っています。
ともあれ、当面の相場動向を探る上で、今晩のSNBの動向と、欧米市場での日銀の介入に注目。
仮に欧米市場で、介入が続けられなければ、昨日のユーロ/スイスフランのように、米ドル/円が反落する可能性も。
逆に今晩、米ドル/円が80円台を回復できれば、米雇用統計前に海外勢による米ドルのショートカバー(売りポジションの買い戻し)を誘引する可能性が高まります。
今晩の海外市場の当局の対応に注目です。
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