みなさん。こんにちは。
少し、落ち着いた動きが続きそうだと思っていましたが、今回それは短期間で終わってしまいました(「足元の株高&原油高が示唆することは? 介入後のドル/円は77~79円での推移か」参照)。
市場の混乱がギリシャからイタリアに飛び火をしています。
■女性問題のあったベルルスコーニ首相に国民の不満爆発
ご存知のとおり、イタリアはEU(欧州連合)諸国の中でギリシャの次に財政事情が悪い国です。ですから、第2のギリシャショック予備軍であったことは言うまでもありません。
ただ、それが現実化するためには、何かのきっかけが必要なのですが、それが今回起きたということです。
今回のきっかけは政治的な問題でした。ベルルスコーニ首相に対する国民の不満が爆発していて、彼はこのたび、財政緊縮法案が承認され次第、辞任するという意向を表明しました。
どこの国でもそうですが、国民に負担がかかる政策をやろうとすると大変な反発を受けます。それを乗り越えるには強いリーダーシップが必要ですが、ベルルスコーニ氏は女性問題で浮名を流し、国民に辛いことをお願いするのは、正直難しい人物だったのでしょう。
彼が辞任をすると表明したことで、この弱りきった政権が、国民への負担を求める財政緊縮法案を通すことができるのかという不安が市場に広がってきてしまったのが今回の混乱の原因です。
■イタリア国債の利回りはついに7%超えに!
昨日の段階で、イタリア国債の利回りは上昇し(価格は下落)、とうとう7%を超えました。これを受けて、ユーロが下落しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
世界で混乱が起きると円高になるという一般的なパターンが今回も起きています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 VS 円 日足)
ともかく、ユーロという通貨は呪縛から抜け出せない状態になってしまっているということかもしれません。
ここで、ユーロという通貨ができた元々の背景を説明しましょう。
■ユーロが抱える2つの問題とは?
当時、ヨーロッパにはあまりにも多くの通貨が存在しており、域内で貿易するにあたって、通貨の交換をいちいちするのにものすごいコストがかかることが問題になっていました。そして、これを解消しようというのがユーロを作った大きな目的でした。
しかし、その一方で心配材料もありました。
まず、通貨が1つになるため、中央銀行を1つにしました。つまり、どの国も同じ金融政策をとるということです。
しかし、それぞれの国の経済政策、財政政策、税制などはバラバラです。そうなると、各国ごとにこれらの政策は異なってきます。すると、「経済政策や財政政策」と「金融政策」というのは特に一体感をもって行う必要があるのですが、これができなくなりました。
もう1つ、ユーロという通貨を使うために、厳しい財政基準を作りました。つまり、あまり国が大きな借金をしないようにするルールです。しかし、実際はそのルールを各国がずっと守れるのかという心配がユーロができた当初からありました。
この2つが正に今、現実となっているということです。
■ユーロ/米ドル、ユーロ/円ともに戻り売り戦略が基本
私は、これで一気にイタリアがおかしくなるとは思っていません。
しかし、いつも言っているように、ユーロの問題は一時的に落ち着いてもまた何か新しい問題が起きるということを繰り返していますし、これからもおそらく繰り返します。
こういうことはいつ起きるかわかりませんので、ともかく、「買い戦略だけはとらないほうが無難である」というのが従来からの私の主張ですし、今もそう思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
「ユーロ/米ドル、ユーロ/円ともに基本は売り戦略。でも突っ込みすぎないで戻りを待つ」…この繰り返しを続ける。これでしょうね。
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