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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

【2012年相場見通し】米ドル/円の16~17年
サイクルは2011~12年の底打ちを示唆!

2011年12月26日(月)20:21公開 (2011年12月26日(月)20:21更新)
陳満咲杜

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 つまり、米ドル高の進行は景気が好転し、米国が利上げをして、米ドル高を支えるというよりも、景気が一段と悪化し、リスク回避型の米ドル買いで米ドル高をもたらす可能性の方が高いと思われる。

 ちなみに、拙作『相場の宿命』では、欧米圏の景気サイクルは2018年まで衰退が続く公算が高いと書いているから、2012年に一段と危機が悪化すれば、それも終点ではなく一通過点に過ぎない可能性もある。ご参考まで。

 となると、不況通貨の円はさらに高騰し、今後も円高傾向が強まるかというと、前記の教訓(1)を踏まえれば、そうはならないということを強調しておきたい。

 米ドル/円の16~17年プライマリーサイクルは2011年前後において底打ちを示唆している以上、円相場は2012年のどこかの時点で72~74円前後にて頭打ちし、その後、円安トレンドを描き出す公算が高い。

米ドル/円 月足(再掲載)

(出所:米国FXCM

 ちなみに、円高のピークはすでに2011年の高値をもって終了した可能性もあり、2012年には高値を更新しない可能性もある。

 ただし、2012年には、景気サイクルの後退局面を迎え、場合によっては深刻な景気後退もあり得るから、円安に転換してもスピードがかなり抑えられる可能性もある。この点はクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場の値動きとかなりリンクしていると思われる。

■ユーロ、英ポンド、豪ドルなどは「二中」がカギに

 では、ユーロ、英ポンド、豪ドルなどの外貨はどうなるか?

 まず、対米ドルの値動きを予測しないと対円の値動きを予測することは不可能だ。結論から申し上げて、「悪い米ドル高」に伴い、これらの主要外貨は共に安値を更新していくだろう。

 ただし、前記教訓(2)を踏まえると、EUソブリン危機が深刻化していく可能性が高いとはいえ、ユーロを始め、諸外貨が必ずしも暴落するとは限らないことも念頭においておきたい。

 いわゆるファンダメンタルズにおける高度の不確実性は2011年にはEUソブリン危機の進行を指していた。そして、2012年もそうであるが、これは基本的には想定された「不確実性」であることも記しておきたい。

 では、ユーロを始め、諸外貨を暴落させる不確実性があるとすれば、それは、どこだろうか。

 私は、「二中」の動向がカギになると思う。1つは中国、もう1つは中東である。

 前者に関してはハードランディング、あるいは地方債務危機の兆しが見えれば、世界景気は一気に冷え込み、リスク回避でさらなる米ドル高をもたらすだろう。

 ちなみに、この場合、豪ドルは2008年以上の暴落相場を経験することになろう。

豪ドル/米ドル 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 月足
 

 後者に関しては、イランの核開発を巡り、イスラエルの先制攻撃があれば、聖書に書かれている「最終戦争」の到来を彷彿させる一大惨事になるから、一時的にせよ、激しい米ドル高もあり得るだろう。

 ちなみに、ユーロのプライマリーサイクルは16年サイクルで、このサイクルでは2012年ではなく2015~16年前後にユーロ安はピークを迎えることになる。

 となれば、私は、基本的にはユーロ崩壊論を信じていないが、仮にユーロ崩壊があれば、2012年ではなく、2015~16年前後になる公算が高いと思っている。

ユーロ/米ドル 月足

(出所:米国FXCM

 したがって、2012年にユーロの暴落があったとしても、それはクライマックス的なものではなさそうだ。

■クロス円は2012年のどこかでピークを迎える公算大

 最後にクロス相場についてだが、基本的にはクロス円の見通しは以下2点に基づくものなので、これらが明らかにならないとよくわからない。

 第1に、米ドル/円が底打ちしたかどうか、底打ちしたなら、これからどんなスピードで円安に転換していくか。また、底打ちしていないなら、どのレベルで円高一服となるか。

 第2に、円以外の通貨が対米ドルでのベア相場を続けるかどうか、続くのであれば、どれぐらいのスピードになるかである。

 以上の分析を踏まえれば、賢い読者なら、自ら答えが出ているだろう。そう、クロス円相場は2012年のどこかの時点でピークを迎える公算が高い

ユーロ/円は2000年の安値に接近、英ポンド/円は史上最安値を更新といったシナリオに備える必要があるだろう。

ユーロ/円 月足
英ポンド/円 月足

(出所:米国FXCM

2012年も波乱万丈な相場になりそうだが、読者の皆さんと一緒に切磋琢磨できれば、それもまた楽しいことだ。

 2011年は大変お世話になりました。深くお礼を申し上げます。それではよいお年を!

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