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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米国の低金利長期化は豪ドルに追い風。
ユーロ/豪ドルは下値余地が再び拡大!

2012年01月26日(木)16:49公開 (2012年01月26日(木)16:49更新)
西原宏一

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 みなさん、こんにちは。

 日本時間で本日早朝(現地時間では1月25日のNY午後)に、注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。

 これを受けて米国の株価指数は反発し、リスクアセット通貨である豪ドル、キウイ(NZドル)も急騰しています。市場はリスクオンの様相を呈してきました。

 先週から続いているユーロの反発も継続しており、ユーロ/米ドルは一時1.3125ドルまで上昇しています。

 それでは、FOMCの発表を受けた、今後のユーロ/米ドルの動向を探ってみましょう。

■「LTRO」の実施が年末年始のユーロ相場を崩した

 2011年後半に始まったユーロの下落ですが、格付け会社のS&P(スタンダード&プアーズ)がユーロ9カ国を格下げしたことも悪材料となったものの、より重要だったのは、昨年12月後半に行われたECB(欧州中央銀行)の「LTRO(3年物資金供給オペ)」でした。これにより、欧州の金融機関に4892億ユーロを供給したのです。

 「LTRO」とはECBがお金を貸し出すオペレーションのことで、欧州の銀行はECBに担保を持ち込むことで資金供給を受けることができます。1%程度の低金利で、しかも3年という長期間のローンを受けられるため、欧州の銀行は当面のファンディング(資金調達)には困らなくなったわけです。

 一方で、ECBのバランスシートは拡大します。結果として、ECBが量的緩和をしていることになるため、これが年末年始のユーロを大きく下げた最大の要因だと言われています。

 昨年のユーロ/米ドルの動きを振り返れば、量的緩和政策が通貨に大きな影響を及ぼしていることは、明白です。

 昨年前半は、ECBが利上げ局面にあったこともありますが、FRB(米連邦準備制度理事会)が「QE2(量的緩和策第2弾)」を行っていたことが、大きな米ドル安の流れを形成しました。

 今回は、ECBが「LTRO」を実施したために、ユーロ相場が年末年始にかけて大きく値を崩したのです。

■2014年遅くまでの米低金利は、市場予想を超える長さ

 そして、今度はFRBから材料が出てきました。

 今回のFOMCでは、「非常に緩和的な金融政策を継続する」として、2014年遅くまでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を低水準に据え置くことが示されました

 この「2014年まで」というのは市場の予想を大幅に超えるものであり、長期間にわたって米国の低金利が続くことになります。 

ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

 加えて、FOMCがインフレターゲットを導入したことも市場の注目を集めました。

「FOMCは25日、2%のインフレ目標を設定することを決め、今年の物価上昇率は目標を下回るとの見通しを明らかにした」(出所:Bloomberg)

 つまり、2%を上回らないかぎり、超低金利が長期にわたって継続されることになります。

 この発表を受け、先週からジワジワと反発していたユーロ/米ドルの上昇が加速し、一時は1.3125ドルまで急伸しています。

■市場の関心は2月末の「LTRO」へ向かう

 ユーロ/米ドルという通貨ペアは、昨年12月末に実施されたECBの「LTRO」でユーロ安が加速し、今度はFOMCの超低金利政策の継続見通しに伴う米ドル安によって反発しています。

 つまり、ECBとFRBの政策に翻弄されているということになります。

 それでは、この後のマーケットの焦点がどこに向かうのかと言えば、2月末の「LTRO」になるでしょう。


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