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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

「問題児」ユーロの反発が続くワケは?
切り返し一服との性急な判断は避けたい

2012年02月03日(金)17:09公開 (2012年02月03日(金)17:09更新)
陳満咲杜

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■言われるほど、QE3を危惧したドル売りは見られない

 為替市場では、米ドル安の基調が続いている。ドルインデックスは78.62まで反落し、円をはじめ、主要通貨は対米ドルでの高値圏をキープしている。

 先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を踏まえた米ドル売りであるが、そのような中、2月3日(金)の米国雇用統計は注目される。結果が芳しくなければ、「QE3(量的緩和策第3段)」の蓋然性が一段と強まり、さらなる米ドル売りにつながるといった見通しや解説をよく耳にする。

 しかし、少なくとも投資家動向に関する最近の統計を見ると、「QE3」の可能性を危惧した米ドル売り・外貨買いの傾向はあまり見られない。むしろ、多くの投資家は米ドルの調整で押し目買いを断行しているようだ。

 ちなみに、ここで言う「投資家」には、プロとアマチュア、機関投資家と個人投資家の両方が含まれる。一般論として、IMMの先物市場における投機筋はプロ、店頭市場のデリバティブ(FX)を行う投機筋はアマチュアとされる。

 だが、最近は一概に、そうとも言えない側面がある。店頭市場にプロの機関投資家が参入してくるケースも見受けられるのだ。

 これは、ヘッジファンドをはじめ、手の内を見せたくないプロが先物市場の利用を避ける傾向にあるためだが、それでも、大まかな見方としては通用するだろう。

 なお、彼らの行動パターンが、通貨ペアによって異なっていることも付け加えておく。

■FOMC当日のユーロ/ドルは、なぜ大きく上昇したのか?

 さて、ユーロ/米ドルをIMMデータで見ると、1月24日(火)時点の統計では、ネット・ショートは17万1347枚まで増加し、史上最高レベルを再更新した

 その翌日にFOMCが行われているため、この数字にはFRB(米連邦準備制度理事会)の政策の影響は織り込まれていないと見られるものの、その後のユーロ/米ドルの値動きを考慮すれば、市場参加者のユーロ売りの意欲はFOMC後も弱まっていないと思われる。

IMMのユーロのポジション動向

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 ここで、筆者が2月1日(水)午後に発行したレポートの一部をご覧いただきたい。ユーロ/米ドルの値動きの特徴をよくとらえており、市場センチメントを探るヒントが隠れていると思っている。

 「昨日ユーロは急落した。高値更新できなかったことを受け、一部ロング筋の手仕舞いが主因と思われるが、圧倒的にショート筋が多い局面では、教科書通りに動くかどうかは慎重な姿勢でフォローしていきたい。

 図示のように、28日高値をトップとしたヘッド&ショルダーズ(三尊型)といったフォーメーションが形成され、昨日の安値がそのネックラインを一時破っていた。通常のケースでは、素直に下放れし、安値更新して同フォーメーションのターゲット(1.2930前後)に照準する公算は高い(黄色矢印の指示通り)。

ユーロ/米ドル 1時間足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM)

 「しかし、切り返しのトレンドが強い場合、所謂『ダマシ』のサインもよく見られ、『ダマシ』というシグナル自体の存在がその後のトレンドを更に推進する原動力になるケースもある。

 前例として24日から25日にかけて時間足に形成された『トリプルトップ』フォーメーションの形成とその後の上放れ(ダマシ)が挙げられ、1.2623を起点とした上昇チャネルの再規定もあり、1.3025/40にサポートされ、再度切り返す可能性も注意しておきたい(赤色矢印の指示通り)。

 なお、1.2623を起点とした上昇変動は18日以来、初めて200時間線まで反落しており、一旦サポートされるケースも多い。

 何れにせよ、短期スパンでは状況は流動的で、本日臨機応変で対応したいが、仮に『三尊型』の通りに下放れしたとしても、売りポジションの多さに鑑み、1.2623を起点とした反騰を終焉させるではなく、大型調整をもってスピードを緩める公算が高いと見る。ドルの底打ちはなお先か」

 実際のところ、ユーロは1.3026ドルの安値をつけてから、1.3218ドルまで大きく反発した。

 このレポートを発行した2月1日(水)は、ユーロの「三尊型」を売りサインととらえる分析がたくさん出ていたので、多くのトレーダーが新規で売り参入してきたと見ている。ゆえに、ユーロは下がらず、大きく反発した。

プロもアマも、戻り売りばかりを狙っている

 教科書どおりに行かないのが「相場の常」である。とはいえ、「問題児」のユーロが連続で「ダマシ」を出して続伸し続けられるのは、1つの原因しか考えられない。

 それは、すなわちプロもアマチュアも同じことを考え、戻り売りばかりを狙っているから、ショートポジション(売り持ち)の多さに比例して、踏み上げ後の上昇幅も大きくなったのである。

 それまでに、プロがユーロショートを少なからず手仕舞っていたならば、2月1日(水)のような「ユーロの踏み上げ」が演出されることは難しかった。また、アマチュアの「新規参入」なしでも、トレンドは続かなかっただろう。

 ちなみに、海外の大手店頭取引業者が発行しているポジション統計を見ると、ユーロ/米ドルが1.2700ドルをブレイクした後、個人投資家は競ってユーロを売っていたようだ。70%前後の比率でユーロショートに傾いており、前述した「三尊型」が、さらなるユーロ売りを誘発したと思われる。

ユーロの戻りの限界を指摘するレポートが多いが…

 逆張りを好む個人投資家の行動パターンは容易に推測できるが、プロの動向を知る手がかりは、金融機関のレポートを参考にするしかない。

 仕事上、筆者は多くのレポートを見るが、この2週間の金融機関のレポートは、うんざりするほど、ユーロの戻りの限界を指摘するものが多かった。だから、筆者はユーロのロング(買い持ち)を推奨した。

 要するに、猫も杓子もユーロを売っていたのに切り返しが継続しているのだから、残る道は1つしかなく、上に行くことが推測できた

 総括すると、FRBの政策云々より、足元で進行している米ドル安・外貨高は、なおテクニカルの要素で主導される公算が大きいということだ。

 資源国通貨の豪ドルが買われるのは当然で、FRBの政策云々との整合性も取れるが、「問題児」のユーロや、量的緩和拡大が必至と見られる英ポンドの急伸は、単純に米国の政策動向で説明するには無理がある。

 相場の真実、あるいは、為替の真実を悟るには、もっと相場の内部構造と市場センチメントの関係に着眼しなければならない。

■米ドル/円に対する見方はプロとアマで大きく割れている

 もちろん、マーケットの行方は、ポジション動向によって簡単に決定されるものではない。だが、為替市場は「交換関係」で成り立っているために、その値動きの大半がロングとショートのバランスや、その崩れ方によって形成されていることを肝に銘じていただきたい。

 詳しい説明は筆者の拙作『FXトレーディングの真実』の「開眼編」を参照していただければ幸いだが、前述したユーロ/米ドルの事例からも、次のような、かなり衝撃的な教訓が得られるのではないだろうか?

1、大衆は常に間違う。
2、プロもアマチュアも同じことを言い始めたら終わり。

 なお、この2つは、ともに拙作におけるタイトルである。 

IMMの円のポジション動向

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 なお、主要通貨ペアの中で、プロとアマチュアの見方が最も大きく割れているのは米ドル/円である。IMMデータでは8年ぶりの高い水準まで米ドル売り・円買いが進んでいるが、個人投資家の大半は米ドル買い・円売りに傾いている。

 果たして、今回はどちらに軍配が上がるだろうか?

 もっとも、このような相違のほうが正常であることも申し上げたい、つまり、プロは総じてトレンドフォローに徹するが、対照的に、個人投資家は逆張りを好む

 だから、最近のユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは、どちらかいえば、通常ではない現象である。

「QE3」が真の焦点として、マーケットの動向を左右する

 以上、IMMデータでユーロショートが史上最高レベルを更新し続けている状況をもとに考えると、ユーロの切り返しが早期に終了するといった性急な判断は避けたいところだ。

 ただし、「S&Pショック」によってユーロの切り返しが始まる場合、本来なら好材料となるはずのギリシャの債務交換協議の合意後に、ユーロ高が一服する可能性があることにはご注意いただきたい。

ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

 2月3日(金)の米国雇用統計の結果を受けて、相場は再び荒れてくるだろう。そして、ポジション整理が一段と進むと思われる。その後に、今度は「QE3」が行われるか、否かが真の焦点として、マーケットの動向を左右するだろう。

 今回はユーロの話が長くなったので、このテーマはまた次回に説明したい。

(2012年2月3日 AM11:48執筆)

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