上昇がどこまで続くかが注目ポイント
米ドル/円は2月1日(水)安値から急反発、3月13日(火)現在、82円を超えて、高値を切り上げる堅調なアップトレンドを続けています。
(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
市場におけるトレンドは、その市場に参加する投資家の集団心理によって形成されます。
そのため、一旦形成されたトレンドは、容易には転換せず、そのトレンドを継続しようとする力が働きます。
そして、この上昇がどこまで続くのかという点が目下の注目ポイントとなるわけです。
(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
相場の「調整」は必ずやってくる
私は前回2月27日(月)掲載記事の中で、「2月1日安値から始まった米ドル/円の急反発が、それまでの長期的な米ドルの下落に対して、相場がバランスをとろうとして起こっている可能性がある」と紹介しました(「米ドル/円はなぜ急反発したのか? 相場がバランスをとることの意味とは?」参照)。
それでは、3月13日現在、次に起こる米ドル/円のバランスをとる値動きとはどのようなものでしょうか?
市場の価格変動は、常に上昇と下落を繰り返し、そこにはある一定幅の反対方向の値動きが形成されています。アップトレンドの中にも下落による押しが形成され、ダウントレンドの中にも上昇による戻りが形成されるのです。
一般的に、トレンドに逆らうようにして起こる、この反対方向の値動きを「調整」と呼び、過去の相場の中に、その調整の幅を確認することができます。
3割押し、5割押し、7割押し、そして、フィボナッチの押し
相場の中で調整幅を表す言葉として、「3割押し、5割押し、7割押し」といった言葉がありますし、「フィボナッチの押し(戻し)」という言葉もあるように、そこには確率的な偏りが確認できるのです。
たとえば、「3割押し」とは、ある安値から100pipsの上昇を形成した相場が、高値を付けた後で30pips下落して、再び反発上昇を始める状態を指します。
これが5割や7割であれば、50pipsの下落や70pipsの下落ということになります。相場はいつもある一定幅の反対方向の値動きを始める可能性があるのです。
フィボナッチの押し(戻し)とは、イタリアの数学者「レオナルド・フィボナッチ」が発見した不思議な数列による押し(戻し)の割合のことであり、38.2%、50%、61.8%という数字が代表的に使われます。
つまり、100pipsの上昇に対して38pipsの下落や62pipsの下落を見せる可能性があるということです。
相場はいずれ下落する可能性を知り、準備しよう
ここで申し上げたいのは、目の前で起こっている上昇において、一旦下落調整が始まった際に、「38.2%の下落が起こるのか、あるいは70%の下落が起こるのかを予想しましょう」ということではありません。
「上昇した相場はいずれ何らかの幅の下落を開始する可能性があることを知り、準備しましょう」ということです。
3月13日現在、米ドル/円は、2月1日安値からの上昇の中で、いまだ十分な押しを形成したとは考えにくく、いずれ上昇が止まった際には、上記で紹介したような、過去の相場の中で確認されてきた下落を開始するでしょう。
それこそが前回の記事でも紹介した相場のバランスです。上昇と下落は大小さまざまなバランスをとっているのです。
それらの相場に存在する大小さまざまな上昇と下落の相関関係は、私がトレードに使っている「メリマンサイクル論(※)」の中で、ある確率をもって紹介されており、目の前で起きている価格変動のバランスが、どのような規模のものなのかを想定していくことも十分に可能です。
(※編集部注:「メリマンサイクル論」とは米国人アナリスト「レイモンド・A・メリマン」氏が提唱する「相場とサイクル理論」のこと)
トレードで大切なことは、ターゲットの明確化
トレードにおいて大切なことは、今からエントリーするトレードが、どのような値動きの中から利益を上げようとしているのかというターゲットを明確にすることです。
そして、意に反して反対方向の値動きが起こった際に、どのような損失を被るのかを知り、コントロールしていくことです。
最終的に目指すポイントは、「利益の合計>損失の合計」という状態であり、トレードです。
現在、米ドル/円の急激な上昇が起こっていますが、いずれ何らかの割合で調整の下落が開始されるはずです。
(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
それを知った上で、現在のポジションをコントロールし、次なるトレードを準備していきましょう。
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