しかし、結局ダマシであったから、残る道は1つしかない。すわわち、リバウンドだ。
これはテクニカル分析の話のように聞こえるが、スペイン国債入札が心配され、フランス大統領選の行方が心配され、またフランスの格下げのウワサ、オランダ内閣総辞職、本稿執筆の4月27日(金)に至ってはS&Pによるスペイン格下げなど、マイナス要素が続出する中で、ユーロのリバウンドは継続されたのである。
ファンダメンタルズ上の材料と値動きのギャップが相当あるわけだ。
ちなみに、こういったギャップをどう測るかというと、それには自称ファンダメンタルズ派論者の解釈が重宝する。
筆者自身も常に何名かをフォローしているが、彼らのファンダメンタルズ分析を読んで、段々「不安だメンタルズ」になっていくと、こういったギャップを利用できるチャンスに恵まれるのだ。
この意味では、後解釈でも立派な役割を果たしているところがあるので、すべてを否定はできない。
■弱い経済指標が出たのに豪ドルはリバウンドを開始
次は豪ドルだ。4月24日(火)、豪州のCPI(消費者物価指数)が弱い結果となり、「豪州は大幅利下げ確実」と騒がれている最中に、豪ドル/米ドルは底打ちし、リバウンドを開始した。
(出所:米国FXCM)
その当日から豪経済がいかに中国依存で、バブル的かつ危険かといった文章や、あるいは「中国経済のハードランディングの可能性から豪ドルの下落が云々」といった文章がネット上にはあふれていた。
■英国のリセッション入り確実視のなか、英ポンドは上昇
最後は英ポンドとなるが、4月25日(水)に市場予想に反して、英国のGDPマイナス成長が発表され、英国のリセッション入りが確実視されるなか、英ポンド/米ドルは1.6075ドルさえ割り込めず、その後高値を更新して、1.6200ドルの節目にトライした。
(出所:米国FXCM)
案の定、英国のリセッションを論じる文章がいっぱい出てきたが、ちょっと前は英国が量的緩和策を打ち切る可能性、あるいは早期利上げの可能性が取り沙汰されたばかりだった。
当然のように、今となって多くの方はFOMC(米連邦公開市場委員会)とバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の話を持ち出して、米ドル安の必然性を説明しようとしている。
が、注意深く見ていくと、豪ドルにしても、英ポンドにしても、FOMC発表前までリバウンドを継続していたのだから、材料による値動きでないことは明白だ。
■米住宅指標が良ければ、本来は米ドル買いのはず
そして、もっとおかしいことがある。「米住宅指標の結果を受けてリスク選好に傾いたからユーロが上昇した」といった解釈が今あちこちでなされているが、これはどこかおかしいのだ。
住宅指標が良ければ、QE3(量的緩和策第3弾)なしの確率が高まるから本来は米ドル買いのはずではないか。
ファンダメンタルズ上の材料は我田引水の言い訳にすぎない。結局、値動き次第でどうとでも説明できるから、安易な解釈が氾濫しているわけだ。
ちなみに、今回例としてあげている3通貨ペアが、なぜこのような値動きをしたのかは、きちんとしたテクニカル上の根拠があるので、近々自分のブログで開示するつもりである。
興味のある方はご参考にしていただきたいが、この記事を含め、前述の例をもって「これから米ドル安一辺倒になる」といったシナリオを提示しているわけではないので、ご注意を。
それではよい週末&GWを!
(4月27日(金) 11時30分 執筆)
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