■再度強調! 世界経済はかなり深刻な状況
まず、相場について考える前に、もう一度繰り返しになりますが、強調しておきたいことがあります。
それは、前回のコラムのタイトルになっているとおり、現在の世界経済はかなり深刻な状況に置かれているということです。
【参考記事】
●今の世界経済はとても深刻な状況。「ていねいな戻り売り」で売り姿勢継続!(今井雅人、5月24日)
ですから、私は安いからといって安易に買ったりすることを否定していますし、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)にしても、株にしても「売り先行でいくべきである」と言い続けてきました。

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今回のユーロ圏でのさまざまな問題は、そもそも2つの大きな根本的な問題に起因しています。
■1つ目の問題は、ユーロという通貨の欠陥
まずその1つは、ユーロという通貨に1つの欠陥があるという点です。
欠陥というのは、過去にも説明しているとおり、ユーロを採用している国は、一定の財政規律を遵守しなければならないしくみになっているという点です。
【参考記事】
●金融市場は混沌、相場はレンジ入りか。懸念は欧州経済危機の「負のスパイラル」
●スイスが大量のフラン売り介入を実施。なぜ、日本は大規模介入ができないのか?
欧州では、大雑把に言えば、景気が悪いから財政事情が悪くなってきているわけですが、そのとき緊縮財政を行えば、景気がさらに悪くなるという悪循環に入ってしまうということです。
しかし、現在のユーロの制度ではそうせざるを得ないわけで、まさに「生みの苦しみ」です。
■2つ目の問題は、リーマンショック
こうした潜在的なリスクを抱えた制度の中、リーマンショック(※)が起きました。
これが大問題でした。
それまでは、制度の問題点が顕在化するようなことが起きなかったのですが、今回初めてその試練にぶち当たってしまったのです。
ギリシャ問題はその象徴的な出来事ですが、他の国にとっても、程度の差こそあれ同じ問題があるわけです。
それが今注目のスペインに飛び火しているわけで、今度は、いつイタリア、ポルトガルに波及するとも限りません。
人はこうした事態に直面すると、頭では理解しますが、感情的には納得できないのが常でして、ギリシャの政局が混乱してしまったのは、そうした複雑な国民感情が原因でしょう。
6月17日(日)のギリシャの選挙結果で、また相場は大荒れになるかもしれませんが、どちらの結果になっても、欧州の試練はその後も続くということは想像しておいたほうがよいと、私は思います。
(※編集部注:「リーマンショック」とは、2008年9月に米国投資銀行のリーマンブラザーズが破たんしたことをきっかけに顕在化した世界的な金融危機のこと)

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■米・雇用統計の影響は、1~2日で終わるだろう
その他の国も、不安材料がたくさんあります。
今週末(6月1日)の米・雇用統計は注目ですし、数字によって相場が大きく動くとは思いますが、たとえ良い結果が出ても、その影響は1~2日ぐらいで終わってしまうのではないでしょうか。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
相場は、ファンダメンタルズ(市場環境)を無視しては動きません。
いつか買い場はやってくるとは思いますが、まずファンダメンタルズが変化してきていることを見届けてからでも、決して遅くはないと思います。
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