■世界の主要中銀は緊急対応措置を準備済みとのウワサ
ウォール街のウワサでは、FRBだけでなく、世界の主要中銀はギリシャのユーロ離脱に備え、秘かに協定を結び、緊急対応措置を用意したという。
つまり、リーマン・ショックの再来を回避すべく、世界的な協力体制が構築されたというわけだ。
これが事実であれば、ギリシャのユーロ離脱が現実になっても、想定された混乱にならないばかりか、その政策が好感され、思わぬ反発の局面をもたらす可能性さえある。そして、こういった観測こそが目先の市況をもたらしていると思う。
■ギリシャ選挙民の票が米大統領選まで左右する構図
では、こういった見方の信憑性についてはどうみるべきか。EU以外の重要メンバー、米国、日本の立場からみれば、おのずと推し量れるのではないかと思う。
まず、米国の場合、今年(2012年)の大統領選を控え、現職のオバマ大統領は必死である。
経済低迷、特に失業率が悪いままで米国大統領が再選された前例がないだけに、ギリシャ問題で世界景気が壊れたらたまったものではない。ギリシャの選挙民の票がオバマの選挙まで左右してくるとなると、米国はその影響を絶たないわけにはいかない。
次に日本の場合、ユーロ/円がこのところの最安値を更新したばかりという状況を考えると、EUと連携して危機を阻止するほか、選択肢がないことも一目瞭然だ。
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ましてや、昨年(2011年)、震災があっただけに、景気回復の道がギリシャにかく乱されたくないなら、助け舟を出さざるを得ないだろう。
この意味では、中国の場合もしかり。最大輸出先のEUの混乱は中国自身の悪夢にもなり得るから、先手を打ちたいところだ。
■ギリシャ再選挙の結果がどうあれ、さほど混乱にはならない
となると、人口わずか1130万超しかない小国、ギリシャより発せられた危機からの連鎖的な影響を絶つために、世界的な危機対応体制が構築されているといった予測は正しいだろう。
したがって、ギリシャ再選挙の結果がどうであれ、想定されるほどの混乱にはならないのではないかと思う。
究極的には、想定されていないところから発生したものがショックと呼ばれる。一方、3年前からギリシャ・ショックという単語に聞き慣れている現在は、ショックよりも慢心病になりやすい。
ゆえに、大混乱よりも、だらだら続くのが今回の危機の形式ではないかと思う。市況は如何に。
(6月15日 14:00執筆)
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