ジャクソンホールに関心が集まるなか、私はどうせ何も出てこないだろうと考えていたので、どうしても期待がはがれる方向のポジショニングをしたいと思った。それはリスク回避の方向にベットするのである。具体的にはユーロ円かユーロドルをショートにするのである。材料がアメリカ発なので、ドル絡みということでユーロドルのショートの方がよいだろう。
ちょうど7月末に1.20台の安値をつけた後のドラギ発言でのマックス戻しが1.2588なので、テクニカル的にはそのレベルが当面の短期的なレジスタンスを形成しているはずなので、1.2590でロスカットする分には1.25台というのは売りやすいレベルでもある。
アジア時間は1.25台の前半でしかやっていなかったのに、欧州時間になるとユーロドルはムキムキと上がってきた。銀行監督の権限をECBに一本化するらしいという報道が出ているが、果たしてこれのせいなのだろうか。
ともかくも1.2550を越えてきたので、私は売り態勢にはいった。完全な逆張りなので、売るレートは選びたいところである。少しでも引きつけて売りたいからだ。ユーロドルを1.2574で売ることは出来たのだが、その後はほとんど下がらずとなった。それどころかグローベックスでは米国株がモリモリと上がってきて、リスクテーク的なファクターも加わって、ユーロはますます強くなった。
ここにきてジャクソンホールの期待がいっそう高まってきたものか。私のユーロショートはあっという間にお陀仏になってしまい、ネクストアクションはバーナンキ発言の内容を見てからということにならざるをえなかった。ジャクソンホールの前にすでにユーロドルは1.26台に達し、講演を待つ。
ジャクソンホールでのバーナンキ議長の発言は、たいへん注目された割には内容に新鮮味のないものとなった。それもそのはずで、バーナンキ議長のような公的な立場にある人は多くの講演の機会を抱えており、ジャクソンホールはそのひとつでしかない。それがたまたま2年前にはQE2の発端になったというから、過大評価されているに過ぎないのだ。
10分ほどの間にスピーチの要諦部分は終わってしまい、最初の反応としてはQE3に深く触れていないということで株売りに見られるリスク回避の形で動いた。講演の直前までリスクテークが進んでいたため、短期的なポジション調整もある。期待がはげ落ちた格好となった。そして緩和が遠のいた解釈でドルの買い戻しが強くなった。ユーロドルは再び1.25台に押し込まれた。
しかしいつものごとく「雇用は著しく回復が遅い」というコメントを忘れなかったことで、追加緩和に対する期待を持たせた。そして相場は反転。株価は大幅上昇へと向かい、9月のFOMCでは追加緩和もありうるのではないかということでドルは再び売られた。ユーロドルは1.2637まで上昇。チョッピーではあったが、講演の前後でユーロドルは100ポイントも動いていない。やはり想定通りだったという見方も強いのだろう。
ニューヨーク時間の午後はリスクテークの利食い一色となって、ユーロは売りが優勢。ユーロドルは1.25台に逆戻り。こうなってくると州が変わった後の消化具合を確かめてから、ということにならざるをえない。今晩はEU議会でのドラギ総裁など要人の証言が出てくることになっている。だが市場の関心はすでに木曜日のECB理事会に移っている。また今晩はアメリカが休みであるので動きづらい。
日本時間 18時00分
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