■ドルインデックスから主要通貨に対する米ドルの強弱を測る
クロス円を測る上では、米ドル/円以外に一番大事なのはドルインデックスの動向だ。というのは、ドルインデックスの強弱をもって主要通貨に対する米ドルの強弱を測れる上、円に対する状況も推測できるからだ。
最近のドルインデックスを見るにあたり、金の暴落との関係からもヒントが得られる。
(出所:米国FXCM)
伝統的に、金と米ドルの値動きは相反する傾向が強いが、最近の傾向では、むしろ似たような値動きが観察される。
4月12日(金)と15日(月)の2日間、金が30年ぶりの暴落を果たしたなか、ドルインデックスは軟調な推移に留まった。そして、17日(水)にドルインデックスは大きく反騰したが、これは金の値動きとの関連性云々よりも、バイトマン独連邦銀行総裁による「ユーロ利下げ」発言による側面が大きかった。
したがって、最近の米ドルの強弱と金相場は関連性が薄い上、金の暴落は、金自体の供給関係やサイクルに基づく要因が大きく、中国経済減速云々との関係から解釈することはあくまで事後的なものだと思う。
何しろ、中国の経済成長の減速は規定路線だし、広く予想されていたから、今さらサプライズ的な材料ではない。その上、同じ中国景気後退をもって人民元の19年ぶりの高値更新は解釈できない。
■主要通貨は引き続き米ドルに対して軟調に推移
閑話休題。要するに最近マーケットを震撼させている事件として大きく取り上げられた金の暴落と中国GDPの低下はあくまでも独立性の高いものであり、為替マーケットへのインパクトは弱い。
米ドル相場全体はユーロ/米ドルをメインにすえて考えた方がよい。そして、ユーロ圏の利下げ予測をドルインデックスを支える主要な要素ととらえた方が無難だ。
EU(欧州連合)の利下げがあれば、ユーロの切り返しを支える随一の要素、すなわち金利差の要素が消えることになるから、米ドルが一段と買われることが予想される。
ただし、一時、出口政策がささやかれていたFRB(米連邦準備制度理事会)にとって、最近の商品相場急落により、デフレ懸念が浮上していることは新たな頭痛の種となっているはずだ。
そのため、米政策の転換はなお時期尚早で、ドルインデックスは強含みでありながら、当面レンジ変動に留まるのではないかと推測される。
要するに、米ドル全般が底堅く推移しているから、ユーロ、英ポンドなどの主要通貨は、引き続き米ドルに対して軟調に動くと予想される。
■円安に振れる局面は、戻り売りの好機か
その上、豪ドルなど資源国通貨は、商品相場につられて目先下値打診を続ける見通しであることも米ドルの堅調につながっている。
となると、筆者がいつも強調しているように、クロス円は、実はドルインデックスが堅調な局面ほど軟調であることが多い。
米ドル/円の高値再更新が、筆者の推測のように難しいのであれば、米ドル/円よりもクロス円の方が総じて円安トレンドに対する修正を先行し、また、その値幅も大きいだろうと思われる。
実際、クロス円の中で、上昇局面ではリード役を果たしてきた豪ドル/円が、調整局面におけるリード役を引き続き担うのではないかとみる。
執筆中の現時点で、豪ドル/円が101.55円前後のレートを示し、先週末(4月12日)安値の103.05円や今週(4月15日~)高値の103.84円になおほど遠い状況から考えて、円安トレンドに対する調整は、まだ始まったばかりで、すぐさま終焉するよりも、これからも継続される公算が高いと思う。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
筆者の見方が正しければ、足元でまた円安に振れる局面は、むしろ戻り売り(外貨売り・円買い)の好機ととらえることもできる。市況は如何に。
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