■米ドル/円は100円の大台に乗りそうで乗らない
円売りトレンドはオーバーシュートの状況が続いている。
今朝(4月12日朝)、米ドル/円がつけた99.95円の高値は、100円の心理的大台の達成に等しいから、前回のコラムに記した「100円の大台はとりあえずおあずけ」といったシナリオが危ぶまれている。
【参考記事】
●黒田日銀総裁の異次元政策をもってしてもドル/円の100円台は夏場までおあずけ?(2013年4月5日、陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
本日4月12日(金)に米ドル/円が100円の大台を突破してもまったくサプライズではなかろう。
それどころか、GS(ゴールドマン・サックス)を始め、ウォール街から早くも120円、125円、130円といったターゲットが次々出されている状況において、直近の米ドル/円の値動きは鈍すぎると感じる市場参加者は多いのではないかと思う。
また、今週月曜日(4月8日)に窓開けして上昇してから、いつ100円の大台を突破してもおかしくない状況の中、執筆中の現時点でなお、それを達成していない状況に、いらだちさえ感じていると思う。
何しろ、「黒田砲」が撃ちまくられていたにもかかわらず、100円の心理的大台に乗らない。そのこと自体、心理面における一種の「マイナス材料」とさえ映る。
ましてや、外部環境にも恵まれている状況である。
というのは、米株高に追随する日本株の高騰がリスク志向を強め、ドルインデックスの頭打ちによるクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上値追いも支援材料となるからだ。
米ドル/円は100円の心理的大台に乗ってしかるべきであり、乗らない理由が見つからないように見える。
■100円に乗る乗らないにかかわらず、近く修正があるはず
しかし、マーケットの値動きがすべて正しいという前提で話を進めていくと、得られる答も1つしかない。
すなわち、日銀の緩和強化による円安効果はすでに今のレートに十分織り込まれており、短期スパンに限っては、さらなる円売りモメンタムの強化は期待できないのではないかと思う。
よりシンプルかつ本質的に言えば、マーケット自体が誰よりも賢く、かつ先見性を持っているのであるから、マーケットがおかしいと思った時点で、それは、そう思う者自身がおかしくなっている証拠となる。
市場参加者の思惑は、マーケット自体のシグナルには勝てないからだ。
したがって、本日4月12日(金)か、来週(4月15日~)前半に米ドル/円が100円の大台に乗るかどうかは別にして、ここまでの円売りスピードが速すぎた分、そろそろ修正が来ると悟った方が良いと思う。
仮に100円の大台に乗せたとしても、さらなる上値余地があるというよりも、いったんロング筋の利食いのサインとして利用されるだろう。
その上、市場が常に大衆の意表を突くといった習性からすると、筆者はあえて前回のコラムで述べた見方を堅持しておきたい。
つまり、わずかなpipsの差しかないが、米ドル/円がいったん100円の節目に乗せてからではなく、乗せないで調整を行う可能性の方が大きい。
【参考記事】
●黒田日銀総裁の異次元政策をもってしてもドル/円の100円台は夏場までおあずけ?(2013年4月5日、陳満咲杜)
では、なぜ米ドル/円がスピード修正…
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