昨日は長期金利の上昇も落ち着いていて、中国株も底値圏から脱した後なので、マーケットに混乱要素は少ないかに思われた。しかしアジア時間から金価格が急落をはじめ、これまた別要因のマタ―が出てきた。そもそも先週のFOMC以降はアメリカの出口戦略の端緒が出てきたことで、金価格は軟調さを強いられていた。ドルと金の反相関は明白で、利息のつくドルで持っているか、利息のつかない金で持っているかの選択になるからだ。
したがって金価格の下落はドルの上昇をともなうことになる。それでアジア時間の午前中はドルが強かった。ドル円は97円台の後半でとどまっていた。午後には日本株の急落もあって、リスク回避からドル円も下げてしまったが、ドルの押し目買いの需要は強いままだった。
欧州序盤ではドル円は97円台の中盤、ユーロドルは下げ基調のままで1.3075あたり。金は1200ドル台の前半まで押し込まれて、大幅安のまま安値張り付き。ドル円はベアである私も、ドルを買っていきたい誘惑に駆られてしまう。ドル円もユーロドルもドルロングにしたくないレベルではあったが、とりあえずユーロドルのほうが売りやすいと思って1.3066でショートにした。米国債は落ち着いており、中国株もナイトセッションでは下がっていないので、これらが問題になることはなさそうだ。
ドル買いはゆっくりとではあるが徐々に進んでいって、ドル円は97.85あたりまで、ユーロドルは1.3020あたりまでドルの上昇を見た。ユーロドルも1.30台の大台を割り込んだら、ロスカットも巻き込んで、かなり下がってしまうのではないか。そう虫のいいことを考えながら、米国市場に移った。
あまり注目されてもいなかったアメリカのGDP確定値だったが、これがプラス1.8%となって、事前予想のプラス2.4%を大きく下回った。これはあまりにも大きなズレである。確定値の段階で影響を与えそうなファクターは、個人消費でもなく、設備投資でもない。貿易である。貿易収支のデータは他の指標と違って2カ月遅れで発表されるからである。
たしかに第1四半期といえばドル円も87円から96円台まで上がったシーズンでもあるので、ドル高による輸出の悪材料とはなっているはずだ。こんなにGDPを押し下げ効果が高いのだから、今後のアメリカからの圧力も相当なものになりそう。ともかくもGDPは驚くほど悪いほうに下方修正されて、ドル安となった。ドル円は直前の高値よりも50ポイント落ちたが、ユーロドルは30ポイントほどの反発で済んだ。
私は自分のコストと同じところに買い戻しのストップ注文を置いておいたので、寸でのところでセーフ。それでも第二波で持って行かれるかもしれない。私としてもカバーしたくてたまらない。ちょっとでも押し目があれば、そこで買い戻す。ドルの悪材料が出ている中、そう簡単にユーロドルも下がらない。小動きではあるが、ようやく押し目を見つけて1.3044でカバーできた。
ニューヨーク時間では株価は堅調だった。中国が落ち着いているのと、長期金利が低下に向かっているのを好感したようだ。またGDPが悪かったということで、QE3の縮小は遠のいたからだという楽観論まで飛び出してもいる。ドル買いが復活したのは、私が寝た後の、ニューヨークの午後からのようだ。ドル円は再び97円台の後半まで戻り、ユーロドルは1.29台に突入した。そしてニューヨーククローズにおいてもドルの全面高で終了の運びとなった。
今日の日本株も乱高下をしてはいるが、やはり最近のレンジ内におさまっている。ドル円も上に行きたいのか、下に行きたいのか、よくわからないまま、97円台を中心の取引が続いている。今晩は失業保険や住宅予約の指標が出るが、昨日のGDPショックのほうが大きいため、あまりマーケットは反応しなさそうだ。今夜は素直に攻めるのがよいだろう。米国株が下げているならば、ドルも売り。3日連続の上昇となるならば、ドルを買っていくつもり。
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