■みんなが使っているMT4、開発元はどんな会社?
みんなが使っているFXの定番チャート・メタトレーダー(MT4)。
メタトレーダー4(MT4)にはなじみがあっても、意外と、というかまったく知られていないのが開発元であるメタクオーツ社のこと。
7月のある日、メタクオーツ社の幹部が来日したというので、ザイFX!編集部では直撃取材!
「取材ですか。いいですよ。この記事が載ったら、ザイFX!のページビューが40%は増えますね(ニヤリ)」
スゴイ自信……。それだけヤバい情報を教えてくれるってことか。
でも、まず聞いておきたいのがメタクオーツ社のこと。FXに詳しい人でも「ロシアの会社だよね」くらいしか知識はないのでは。
「メタクオーツ社は2000年にできたロシアの会社です。今は70名ほどの社員がいますが、半分以上がITエンジニア。技術者中心の会社なんです」
■MT4を取り扱っている国内FX会社は10社以上!
そう答えてくれたのは、メタクオーツ社のエリック・リーさん。2004年からメタクオーツ社に参画している古株であり、アジア太平洋地域を統括するエラい人なのだ。
その担当地域にはもちろん、日本も含まれている。
「日本は特に力を注いでいる地域です。日本の利用者はレベルが高いですね。
自分の取引手法をEA(MT4の自動売買機能)にして使っている人も多いですし、とくにカスタムインディケーター(自作したテクニカル分析機能)が好きなようで、私たちへの問い合わせも多い。プログラミングのやり方だったり、『MT4に載っているインディケーターが違うんじゃないか』という指摘だったり(笑)」
日本では以前は数えるほどしかなかったメタトレーダー4(MT4)が使える会社だが、だんだんと増えてきて、今は10社を超えるまでになった。
13社まで増えたメタトレーダー4(MT4)採用会社 |
アヴァトレード・ジャパン[メタトレーダー4] |
アルパリジャパン[スタンダード口座]、[プロ口座] |
OANDA Japan |
外為ファイネスト |
サイバーエージェントFX[MT4] |
セブンインベスターズ |
セントレード証券 |
FOREX.com Japan[MetaTrader4] |
東岳証券 |
efx.com |
FXCMジャパン証券[MT4口座] |
FXトレード・フィナンシャル[FXTF MT4] |
「今回の来日でも新しい会社と話をしていますよ」ということなので、まだまだ増えそうな気配。
メタトレーダー4(MT4)を使える会社の取引条件などを比べるときは、「ザイFX!×メタトレーダー(MT4)」のサイトも参考にしてほしい。
【参考コンテンツ】
●メタトレーダー(MT4)が使えるFX会社比較!
「でも、メタトレーダー4(MT4)を試すだけなら、ダウンロードして口座の申請をすればすぐ無料で使えます。初心者の人でも使いやすいチャートなので、ぜひ試してほしいですね」
【参考記事】
●ザイFX!が作ったメタトレーダー(MT4)入門:今すぐMT4をインストールしてみよう!
■MT4があるなら、MT1もあるはずだが?
でも、前から気になっていたのが名前の謎。
MT4っていうけど、MT2やMT3は見たことも聞いたこともない。4っていうくらいだから1、2、3もあったはずと思うのが人情だが。
「元々、メタクオーツ・ソフトウェア社を設立する前に『FXチャート』というソフトを作っていました。そして、会社設立後に『メタクオーツ』というソフトを作ったんです。さらにその後、MT3をリリースしました。
だから、MT1、MT2というソフトはないんですが、『FXチャート』と『メタクオーツ』がそれらに該当すると言えるかもしれません」
MT4の前にMT3はあったとのこと。しかし、MT1、MT2は幻だったようだ。
■MT4利用者は安心を。MT4とMT5は今後も併存する
さて、エリックさんによると、世界100カ国以上で4000万人が使っているというメタトレーダー4(MT4)だけど、すでに後継ソフトも登場している。
メタトレーダー5(MT5)だ。
今はみんなメタトレーダー4(MT4)を使っているけど、いずれMT5が主流になるのか。
「メタトレーダー4(MT4)の開発を始めたのは2002年。それから10年以上が経ち、OSやテクノロジーも変わっています。
MT5では最新技術に対応していますが、もっと大きいのは為替だけではなく、株や商品の投資家にも使ってもらえるように作られているということ。為替トレーダーに支持されているメタトレーダー4(MT4)のサポートやアップデートは今後も続けていきます」
ということなので、これからも安心してメタトレーダー4(MT4)を使えそう。
メタトレーダー5(MT5)はすでにリリースされているが、FXトレーダーに愛用されているメタトレーダー4(MT4)の開発が止まるわけではないようだ。
でも、そう考えると10年以上、世界中から愛されている取引ツールなわけで、メタトレーダー4(MT4)ってやっぱりスゴい!
■開発開始から10年以上も愛用されている理由は?
「投資家にとってはもちろん、FX会社にも便利なように作られていますし、これだけ長い間、使われているのは最初にものすごい試行錯誤があったからとも言えます。
建築済みのマンションに屋上庭園やプールを追加しようと思ったら大変な工事になりますよね。
でも、最初に『プールを追加するかもしれない』と予期して建てておけば、あとからプールを追加するのは難しくない。
メタトレーダー4(MT4)もそれと同じで、基本のベースをしっかり作りながら、将来必要となるかもしれない機能も考慮して作られている。だから、環境が変わっても、新しい機能を追加できるんです」
新しく追加された機能の一例がワンクリック注文機能。
以前は「メタトレーダー4(MT4)ってチャートツールとしては優れているけど、注文機能が弱いよね。注文が約定するまでのクリック数が多いし」という評価が、特にスキャルピングを行う短期売買派などから聞こえてくることがあった。
そんな声を受けてか、最近追加されたのがワンクリック注文の機能。
チャート左上にある小さな「▼」をクリックすると表示される注文パネルだ。
これを使えば、1回のクリックで注文を約定させにいくから、短期売買派の不満もグッと和らぐ。
【参考記事】
●MT4に便利なワンクリック機能が登場! バージョンアップしてすぐにでも確認を!
●MT4が「Build500」にバージョンアップ! ワンクリック決済など便利機能を追加
■コッソリ追加されていた「コピートレード」機能
「メタトレーダー4(MT4)には新しい機能がどんどん追加されています。
最近だと『シグナル』の機能を追加しました。『コピートレード』、つまり誰かが売買したとき、自分の口座もその人と同じように取引する機能です」
これまでメタトレーダー(MT4)にあったEA(自動売買)は、あらかじめ決められた売買ロジックにもとづく自動売買だったが、こちらはシグナル配信者が裁量で判断して決めた取引と自分の口座をリンクさせて自動的に取引させるもの。
シグナル配信者の売買をコピーして自分もトレードするから「コピートレード」だ。
日本のFX会社ではまだ実装されていないものの、すでに海外ではメタトレーダー4(MT4)に「コピートレード」機能が実装されていることをエリック・リーさんは教えてくれた。
「初心者の人は最初、どう取引したらいいかわかりません。そんな人に使ってほしい機能がシグナルです。
FXの上手な人が自分の取引をシグナルとして公開することができます。シグナルを公開すると、その人の履歴や取引が公開され、その人と同じ売買をしたいと思ったら口座を連動させて自動的に同じ取引をさせることもできるんです」
日本ではまだ採用している会社はないようだが、メタクオーツ社からダウンロードしたメタトレーダー4(MT4)なら、デモ口座で気軽に試せるので一度試してみよう。
【参考記事】
●ザイFX!が作ったメタトレーダー(MT4)入門:今すぐMT4をインストールしてみよう!
ターミナルウィンドウのなかに「シグナル」というタブがあるので、そこでめぼしいシグナルを探せる。
シグナルの機能を使うのに必要なのが、メタクオーツ社が運営するホームページ「MQL5.Com」へのID登録。
「メンドっちぃ……」と思うかもしれないが、ぜひ登録してみてほしい。
■MT4ユーザーに便利なコミュニティサイト
メタトレーダー(MT4)にひっそりと搭載されていたシグナル機能を使うのに必要な「MQL5.com」への登録。
でも、このサイトは実は結構、便利なのだ。
「メタトレーダー4(MT4)やメタトレーダー5(MT5)のユーザーが集まるサイトです。
ここではシグナルを探したり、EAを売ったり買ったり気軽にできます。無料のEAもありますし、インディケーターをダウンロードしたり、活発な議論が交わされたりしているんです」
メタトレーダー4(MT4)のターミナルウィンドウを見ると、「Code Base」というタブが追加されているはず。
ここを見ると、インディケーターやメタトレーダー4(MT4)用ツールなど、「MQL5.com」サイトの更新情報一覧が見られる。
英語だけど使い慣れた単語ばかりで、なんとなく意味はわかるから、使えそうなものがないか、確認してみよう。
その他にも「MQL5.com」のサイトには役立つ情報があふれているし、登録者同士のチャット機能なんかもついている。
メタトレーダー4(MT4)利用者の便利なコミュニティサイトになっているので、一度のぞいてみよう。
「最近ではiPad専用のメタトレーダー4(MT4)アプリをリリースしましたし、これからも日本の利用者に喜んでもらえるよう、開発を進めていきたいと思います」
「実は私もFXをやっているんです。もっと便利にメタトレーダー4(MT4)を使いたい、その気持ちはみなさんといっしょですから(笑)」
これからのメタトレーダー4(MT4)にも期待大!
最新情報は随時、「ザイFX!×メタトレーダー(MT4)」サイトで更新していくので、楽しみに待とう。
(取材・文/ミドルマン・高城泰 撮影/和田佳久)
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