ところで、たびたび指摘してきたように、豪ドルの売られすぎと相俟って、ユーロ/豪ドルに見るユーロプチバブルは、もっとも度合いが深刻であった。
ゆえに、筆者は一貫して豪ドルの売られすぎを主張し、8月23日(金)のコラムで述べたとおり、8月5日(月)の安値0.8848ドルを起点とした切り返しがもう終了したと判断することは時期尚早であった。実際、日足における逆三尊型(※)というフォーメーションは、再構築されたものの、なお有効である。
【参考記事】
●アジア通貨危機再来なら円安か? 円高か? 中国崩壊論より、ユーロ暴落に注意!(8月23日、陳満咲杜)
(※1 編集部注:「逆三尊型」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す形の1つ。真ん中に一番深い谷があり、その左右にそれより浅い谷が並ぶ)
■豪ドル/米ドルは0.95~0.96ドル前後まで上昇の余地あり
ユーロ/豪ドルと逆の形で、豪ドル/米ドルにおけるRSIは、5月半ばから一貫して強気ダイバージェンスを構築。かなり煮詰まりつつあったところ、これが日足における逆三尊型の形成につながった。ゆえに、豪ドル/米ドルの切り返しは今後も継続し、少なくとも0.9500ドル~0.9600ドル前後までの上値余地があるだろう。
(出所:米国FXCM)
■豪ドル/円はリバウンドを継続する公算が高い
豪ドルの切り返しは、もう1つの通貨ペア、つまり豪ドル/円からも観察される。
結論から申し上げると、豪ドル/円は当面いったん底打ちを果たした公算が大きく、リバウンドを継続するだろう。根拠は以下のチャートをもって説明できる。
(出所:米国FXCM)
まず、上のチャートで示しているよう、4月高値105.43円からの下落波は、きれいな5波構造を形成し、8月28日(水)安値、8月7日(水)安値を更新できず、5波構造を持つ下落波の完成を示唆していた。要するに8月安値86.40円からリバウンドの展開を推し進めているということだ。
次に、1-2-3の法則で測る底打ち、至って反騰の公算も大きいから、豪ドル/円のリバウンドは、当面起こりやすいとみる。
1-2-3の法則に関しては、本コラム開始時にて紹介していたので、わからない方はさかのぼってご覧いただきたい。
【参考記事】
●中川問題は関係ない!? 為替相場で円安が進んでいる本当の理由(2009年02月20日、陳満咲杜)
(出所:米国FXCM)
豪ドルの底打ち、至って切り返しは、本質的には先の売られすぎに対する反動で、テクニカル的な要素をもってその可能性を見てきたが、本日(9月6日)となっては「豪州中銀が次の利下げ時期を言及していなかったから、利下げ観測の後退で買われる云々」と解釈される。
理屈はともかく、豪ドルの切り返しは、売られすぎに対する反動がまだ始まったばかりである以上、ほかの外貨(米ドル以外の通貨)と分けて考えるべきだ。
なぜなら、ユーロ/米ドルにしても、英ポンド/米ドルにしても、ベアトレンドに復帰してはいるが、売られすぎといった状況にはほど遠いからだ。
ユーロ/豪ドルにしても、英ポンド/豪ドルにしても、先の買われすぎに対する修正が起こっただけで、反落波の継続は、まだこれからだ。
この意味では、いささか異常に見えるが、ドルインデックスとリンクした形で豪ドルも上昇していく可能性さえある。
もっとも、ドルインデックスに豪ドルは含まれていないことを記しておく。
■米ドル/円の上値は限定的とみる
最後に、肝心の米ドル/円だが、100円の大台のブレイクをもってブルトレンドへ復帰し、これから高値更新していくだろうか。
筆者は米ドル/円の100円大台乗せを受け、下値リスクの後退と受け止めるが、たちまち上値追いの展開となるかについては懐疑的だ。
言い換えれば、従来のトライアングルの上放れをもって直ちにブルトレンドへの復帰を認定するには性急で、また違ったトライングルの形成も考えなければならないと思う。あくまでイメージだが、シナリオは下図のとおりだ。
(出所:米国FXCM)
この根拠の詳説は次回に譲りたいが、ユーロ/円と英ポンド/円の日足からヒントをまず得たい。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
ユーロ/円のトライングルにしても、英ポンド/円のダブルトップにしても、上放れなしでは依然反落の可能性が大きいから、こういった局面においてやはり米ドル/円がガンガン高値を取っていく時期ではないと思う。
よって、米ドル/円の保ち合いパターンはなお続く公算が高い(なお、米ドル/円について詳しくは筆者のブログにて解説しているので、ご興味のある方はご覧いただきたい)。市況は如何に。
(9月6日 13:30)
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