先週金曜日、注目される雇用統計であった。欧州時間ではドル円は102円ちょうどをはさんでの動きが続いていたが、雇用統計への妙な期待もあって、やや強めに推移していた。グローベックスでの米国株なども強い。リスクテークしたいという意欲が満々に満ちているのが直前までの状況であった。
私としては今回は手が出づらいと考えていた。前回が大変に悪かった分だけ。今回の予想がつきにくのである。前回に凹んだ分が今回に回ってくるとなると、大きめのペイロールとなって現れてくるだろうし、かといって他の雇用関連のデータと比べても今回が良くなっているという根拠には乏しい。
まあ結果が出てからの是々非々で対応していくしかないというのが、偽らざる本音である。無用なバクチを避けたいというところだ。直前の状況では、ドル円は102.20くらいで日中のもっとも高いところにつけていた。株価も高く、日経先物は15550円で、こちらも昼間の高値を越えてきている。相当に期待が高くなっているようだ。
だが結果は就業者数が11万人台の増加。これは上ブレありと考えられていた見方からすると、途方もなく悪い数字である。単に予想を下回ったというだけに留まらず、最近の雇用環境の改善傾向という事実そのものに疑問を投げかける数字だ。しかし一方では失業率は6.6%にまで低下している。FRBが目指している6.5%まであとわずかしかない。
マーケットの最初のリアクションとしては、悪い就業者数のほうに反応した。ドル売りとなって、ドル円は101円台のミドルへ。ユードロルは1.36台までジャンプアップした。それまで買い進められてきた株価も急落し、リスク回避の姿勢が強まった。
私もドル円が101円台ならばと、101.75でオファーして何とか売ろうとする。しかしその後はなかなか下押しもしない。やがて株価が急反発をはじめた。その瞬間に私のオファーはダンになったが、こんなリスクの反発を伴っているならば、ドル円のショートは危ない。
怖くなってすぐに101.88で買い戻した。10ポイント強のヤラレてしまったが、入りどころがわるかったとしかいいようがない。また株価が落ちてくればドル円を売っていけるだろう。そう思って見ていたが、その後は102円台に乗せてきても、もう下がらなかった。
ニューヨーク時間を通して、リスクテークの流れが続いた、株価は大きく上昇することとtなり、そのまま高値圏での引け。日経先物も14700円までつけた。ユーロ円は連日の大幅上昇となり、1月に進んだリスク調整の、そのまた調整が出た格好になっている。
さて今日は材料が少ない。しかるに金曜日の雇用統計の結果をどのようにマーケットが消化していくのかに注目が集まる。株価はこの戻し高値水準を維持できるのだろうか、雇用の結果を受けて金融緩和のありように変化はあるのか。また新興国の通貨は落ち着いたままでいられるのか。そうしたことを確認しながら進むことになりそうだ。
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