■週末シドニーで開催されるG20に注目
前回のコラムでは、世界経済の光と影について説明をしましたが、今回はそれについて関連した出来事を紹介します。
【参考記事】
●為替は方向感なく、ふらふらした動きに。新イエレン体制発足だが新興国も注意!(2月13日、今井雅人)
今週末(2月22日~23日)にシドニーでG20(財務相・中央銀行総裁会議)が開催されます。G20の会議にあたっては、毎回IMF(国際通貨基金)が会議用のレポートを作成しています。
今回のレポートを見てみると、世界経済に関して、景気回復はまだ弱く、著しい下向きのリスクが残っているという懸念が示されています。
■IMFが作成したレポートで示された懸念
具体的には「新興国での資本流出や金利上昇、急激な通貨安は引き続き主要な懸念材料である」と指摘されています。
(CQG)
また、「長期的なインフレ見通しが低下する可能性のあるユーロ圏では非常に低いインフレを要因に、新たなリスクが生じ、経済活動への深刻なショックが起きた場合のデフレリスクを高めている」との記述もありました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
つまり、米国の金融緩和縮小開始がきっかけとなって、新興国から資金が流出している影響と、ユーロ圏でのデフレリスクが世界全体に大きな影響を与える可能性があるとの見解が示されているわけです。
■公表されたFOMC議事録を見てみると…
さて、そこで米国の金融政策がどうなっていくかということでありますが、FOMC(米連邦公開市場委員会)がテーパリング(※)を当面定期的に実施していくつもりであることは前回のコラムで紹介しました。
【参考記事】
●為替は方向感なく、ふらふらした動きに。新イエレン体制発足だが新興国も注意!(2月13日、今井雅人)
今週(2月17日~)、さらに動きがありました。
FRB(米連邦準備制度理事会)が2月19日(水)に発表した1月28日(火)~29日(水)開催のFOMC議事録を見てみると、次のように書いてあります。
「失業率が6.5%に迫っている中、その目安を下回った後のFF金利をめぐる決定についての情報を提供するため、FOMC参加者はフォワードガイダンスを変更することが、近く適切になるとの見解で一致した」
(※ 編集部注:「テーパリング」とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
■米失業率は、FOMCの改善目安まであと少し
先日発表された米国の1月雇用統計では、失業率は6.6%とFOMCが雇用環境の改善の目安としていた6.5%に近づいてきています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
それを受けて、これからは量的緩和の縮小だけではなく、ゼロ金利も見直すことも視野に入れると言っているわけです。
米国がこういうスタンスである以上、新興国経済への懸念は高まって当然です。今後もよく注意をして見ておかなければなりません。
また、中国のシャドーバンキングの問題も…
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