■ウクライナ懸念はほぼ解消、新興国通貨も一気に反発!
みなさん、こんにちは。
先週(2月23日~)、唐突的に勃発したウクライナ問題ですが、本稿執筆時点では週初の緊迫度はほぼ解消されました。
事態が混沌としていたときは急速に売り込まれていた新興国通貨も一気に反発し、新興国通貨の下落に呼応して、下落していた豪ドルも急反発。グローバルに株価も回復しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
■マーケットを主導するのはリスクオフの巻き戻し!
リスクオフから一挙にリスクオンではなく、リスクオフのポジション(株安・円高・スイスフラン高)がいっせいに巻き戻された展開になっています。
今回のウクライナショックの相場のなか、投機筋が驚いたのがリスクオフ時の米ドル/円の下落幅が限定的であることです。
今回のウクライナショックでの米ドル/円の安値は101.20円。
101円台前半には本邦年金がビッド(買い指値)しているという噂もあったわけですが、メディアから伝えられる「ウクライナショック=リスクオフシナリオ」と比較すると、今回の円高はわずか1円幅と限定的なものになっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■ウクライナショックによる円高は短命!
今年に入って「アルゼンチン、中国、そして、ウクライナ」とリスクオフ局面が何度も訪れたのですが、米ドル/円が急落したのは1月のみでした。
その後の米ドル/円は異様な耐性をみせ、まだ解決に至ったわけではありませんが、ウクライナ問題が沈静化すると、リスクオフのポジションの巻き戻しのほうが早くなっています。
つまり、1月のアルゼンチンショックの時と比較すると、今回のウクライナショックをきっかけに「円ロング」にしても、円高相場はかなり短命に終わり、利益幅が少ないということなのです。
逆にリスクオフのポジションの買い戻しのアクションが遅れると損失になりかねません。
そして、何度も訪れるリスクオフ局面でも米ドル/円が100円を割り込むのは難しいという事実があります。実際、今回の円高局面では101.00円も割り込んでいません。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■海外勢の注目は米ドル円と日経平均の動向へ!
前述のように今回の円高はわずか1円程度の下落幅となっています。
メディアで展開される悲観論とは裏腹にウクライナ問題の沈静化で、日経平均こそ上げ幅は限定的でしたが、米国株は下落前よりも上昇しています。

(出所:米国FXCM)
こうしたことから海外勢の注目がリスクオフの時でも崩れなかった米ドル/円と日経平均に戻ってきています。

(出所:株マップ.com)
もちろん欧米のヘッジファンドはダボス会議以降、アベノミクスに対する懸念が残っており、「第3の矢」が具体化するまでは、米ドル/円を大きく買い上げてくれることを期待するのは困難な状態です。
【参考記事】
●トルコ中銀4.25%大幅利上げ効果は短命。ドル/円は101.78円抜ければ下値余地拡大(2014年1月30日、西原宏一)
■米ドル円はじわじわ上昇し、104円を回復する展開か
結果、米ドル/円は穏やかに下値をきり上げていき、再びじわじわと104円を回復する展開になるのではないでしょうか?

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ウクライナ発の地政学リスクからのリスクオフ相場でも下値が限定的だった米ドル/円に再び注目です。
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