■相場の値動きはドラギ総裁発言を暗示していた?
相場は理外の理。今回のウクライナの件で再度勉強させていただいたが、相場の値動きは先行性を持つものだから、昨日(3月6日)のマーケットの出来事が暗示されていたのかもしれない。
何しろ、昨日(3月6日)のECB(欧州中央銀行)理事会について、市場関係者の大半は何らかの政策変更を予想していたが、フタを開けてみれば、ECBはいかなる行動もしなかった。
そればかりか、ドラギ総裁の話はこれからの政策余地にも言及なしで、今までの逆パターンでの「ドラギショック」をもたらした。
だから、米ドル全体の下落とともに、円が売られて、ユーロ/円、英ポンド/円は急騰した。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)
ユーロ/円は、昨日(3月6日)、250PIPSの値幅を示し、2014年年初来の円高トレンドに対する修正を強めている。101円の節目を割れずに再び103円台を打診している米ドル/円の上昇も、当然の結果とみなされる。
■GMMAチャートでみると米ドル/円に変化が見られる
前回のコラムでGMMAチャートで見た米ドル/円の日足を再度見ると、鰯軍団(短期線)が鯨軍団(長期線)の上に回復しようとする試みは明白だ。2013年年末から日足で初めて「三連陽」が形成され、一段と切り返しの余地を拓く可能性が示唆されている。
【参考記事】
●「鯨」と「鰯」が米ドル/円のベアトレンド継続を示唆? 100円台打診はまだあり得る!(2014年2月28日、陳満咲杜)
(出所:アイネット証券)
GMMAチャートが示すように、米ドル/円は従来のベア(下落)トレンドから保ち合い局面に移行しており、状況が変化しつつあることがわかる。
■今後は今夜の雇用統計次第だが、目先は一進一退か
問題はこれからどうなるか、である。
年初から続いた円高トレンドが、調整波として底打ちし、これからブルトレンドへ復帰するのか、それとも目先の反騰は、なお一時的なものにすぎず、これからメイントレンド(つまり円高)に復帰するのか。
答えは今晩(3月7日)の米雇用統計後の市況をもって、より明白になるだろう。値段が材料に先行するというロジックでみると、今晩(3月7日)の米雇用統計はリスクオンのムードを後追いする形で表れ、良い結果が出るか、あるいは結果がマーケットに良い方向に解釈される可能性が高い。
反面、目先のリスクオンムードは行きすぎであり、早晩頭打ちになるということもあり得る。そうなると、今晩(3月7日)の米雇用統計はそのきかっけになる公算が大きいから、予想より悪い数字を十分覚悟した方が良い、という見方もある。
現段階では、両方の可能性を頭に入れつつも、筆者の意見はやや後者のほうに傾いている。
換言すれば、今回のウクライナ騒動で検証され、また強化された相場の強気は行きすぎであり、そろそろ一服するタイミングに来ているとみる。
だから、材料が値動きの後を追ってさらに材料を証左するよりも、新たな材料がこのタイミングに合わせて出現する可能性の方が大きいと思う。このあたりの解釈はまた次回に譲りたい。
いずれにせよ、米雇用統計の予測自体信用すべきではないし、当面の楽観ムードが同統計によって冷やされる可能性があるものの、直ちにリスクオフ局面に転換するにも時期尚早だと思う。
目先、一進一退を繰り返しながら、次のブレイクポイントを探る可能性が一番大きいのではないかと思う。
ちなみに、米ドル/円は103円台を回復しているが、筆者はなお100円の大台打診を有力視。目先の反騰は、あくまでリバウンドとみなしている。市況はいかに。
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