■今週は米ドルの弱さが目立つ
英ポンド/米ドルの高値更新(2009年8月以来)に象徴されるように、今週(4月28日~)は米ドルの弱さが目立つ。ドルインデックスは79.41まで下がり、昨年(2013年)安値78.91に迫る勢いだ。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
米ドル全体の弱さは、たびたび指摘してきたマーケット全体におけるリスクオンの硬直化とリンクしているところが大きい。
ウクライナ情勢が悪化しているにもかかわらず、NYダウは終値ベースで再度史上最高値を更新し、米国株バブルの様相は一段と深まっている模様。
(出所:米国FXCM)
■日米の金融政策に対する市場の評価の違いとは
米国株に比べ、日本株の「出遅れ」は目立つ。日米金融政策はともに「規定路線」が継続されているように見えるが、マーケットの評価は異なっているようだ。
FRB(米連邦準備制度理事会)は、QE(量的緩和策)縮小を継続、声明文も前回とほぼ同じ文言だった。金融政策の継続自体が、FRBが景気見通しに自信を持っていると解釈され、米国株高につながった。
対照的に、日銀も景気見通しやインフレターゲットを据え置いたが、マーケットが期待している、もう一段の緩和余地が、日銀総裁の黒田さんの強気によって逆に縮まったため、日本株の頭の重さが、再び印象付けられる結果となった。
(出所:米国FXCM)
これとセットのように、円高傾向も続いている。米ドル/円は102.78円まで切り返したものの、再度頭打ちとなった印象が強い。
(出所:米国FXCM)
米ドル安の一環としてドルインデックスとの連動といった要素もあるが、根本的にはマーケットの緩和期待が、日銀による強気見通しで一段と剥落したところが大きいと思う。
それにしても、マーケットの思惑が完全になくなったとは言い難い。今回は見送ったが、次はいつか、といった観測と期待がなお根強いのも事実だ。
マーケットの本音が緩和頼みのままでは、株安・円高のセットは、なお継続されるのではないかとみる。日米の株価パフォーマンスの温度差自体が、トレンドを示唆していると思う。
もっとも、日本株は米国株と連動する傾向が強く…
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