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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

麻薬中毒のごとき市場に興奮剤が出たが
効果は一時的?ドル/円は年内一杯下落も

2014年05月23日(金)18:27公開 (2014年05月23日(金)18:27更新)
陳満咲杜

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■マーケットは「興奮剤」を求めている状態

 マーケットは昨年、2013年の「異次元緩和」を経験しただけに、一種の「麻薬中毒」になったような症状が出ている。言ってみれば、興奮剤が欲しくてたまらないといった状態だ。

 当然のように、企業の増収増益といった「のんびり」な予測だけでは興奮剤にならず、なんらかの刺激材料なしではマーケットが「底割れ」してしまう。このあたりの事情は、安倍政権もさすがによく把握しており、目先は、うまく手を打ったというわけだ。

 うわさは5月21日(水)にも出回ったが、5月22日(木)になってからマスコミの紙面に「かんぽ生命、日本株を3000~3500億円規模での買い増しへ」との材料が躍り出した。その材料に刺激されて、株は急速に買い戻され、円高の流れも再度ストップしたかのように見えた。

日経平均 日足

(出所:株マップ.com

 もっとも、報道による日本株買い増しの規模自体は小粒で、金額よりその影響力のほうがマーケットに重視されたのだろう。今はかんぽ生命、今後はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の出番ではないかと市場関係者は誰もがそう思っているに違いない。

【参考記事】
「ドラギ・ショック」再現の可能性大! ウサギちゃんのGPIFに改革は難しい!(2014年5月9日、陳満咲杜)

 そして何よりもこういったタイミングで出ること自体、官庁主導の一種の「PKO」(株価対策)であることは明らかだ。

 かんぽ生命にしても、これから予想されるGPIFの出動にしても、こういった準公的資金の動員は、まさにマーケットが求める興奮剤であり、材料としての刺激やインパクトも十分強かった。こうした効果を十分把握した上で、永田町が主導した「市場介入」は目先成功しているように見える。

 しかし、こうした成功は長く続かない可能性が大きく、やっかいな結果を招くことも想定される。なにしろ、これは相場の内部構造に逆行する試みであり、民間であれ、官庁であれ、これまでこうしたことに成功した事例を見たことがないから、今回も然りであろう。

■アベノミクスは賞味期限切れ!? 調整局面は継続か?

 当コラムにて何回か指摘したように、そもそもアベノミクスは、日銀政策の180度転換に依存しているところがあり、また、それが相場の内部構造やタイミングに合ったからこそ大きな効果を発揮した。

 言い換えれば、2012年末時点において、株安・円高は限界に来ており、相場自体のサイクルが株高・円安への転換を示唆していたからこそ、アベノミクスは大成功を収めたということだ。

【参考記事】
市場に残る緩和期待と「アベノミクス成功」とに生じる矛盾が相場に波乱をもたらす?(2014年5月2日、陳満咲杜)

 しかし、現在の位置は明らかに違っている。マーケットは2012年年末から始まった株高・円安局面が一服。2014年の年初来から調整局面が始まり、現在もその途中に位置するので、小手先の政策を出しても効きにくい。

 日銀の緩和余地はかなり限定される上、いまだに本格的な成長戦略を打ち出せないアベノミクスの賞味期限はすでに切れているか、もしくはそろそろ切れるので、興奮剤を飲んでもマーケットの勢いは一時的なものに留まり、調整局面自体を修正できない公算が大きい。

 ましてや株にしても、為替にしても、大きな株高・円安を主導してきたのは「外国人」筋で、彼らの動向と思惑がもっとも重要であることは言うまでもない。

 為替の統計は難しいが、株の場合、2013年において、外国人投資家は総計15兆円の日本株買い越しと報道されており、2014年年初来の売り越しはあってもせいぜい2~3兆円に留まっているのではないかと推測される。

 となると、手持ちのロングポジションがたっぷりの「外国人」たちは日本株を処分しても処分しきれない恐れがある。なにしろ、日銀緩和観測の後退で、2014年年初から日本株は一貫して下げているので、ここで大量に売りを出したら、自分で自分にとどめを刺すような行為に等しいからだ。

 要するに「外国人」たちが売り抜けていくには、なんらかの材料が必要で、誰かが買ってくれないといけないわけだ。

 そして、今回はその材料が出ているのではないかと思う。

 すなわち、かんぽ生命やGPIFのような準公的資金による「買い支え」観測だ。なぜなら、こういった「官制材料」に個人投資家と国内機関投資家が弱いことを「外国人」はよく知っており、また「外国人」と日本国内の投資家の行動パターンを鑑みても、この可能性は大きいと思う。詳細はまた次回にて説明したい。

■米ドル/円は年内一杯ダラダラ調整する可能性も?

 最後に、株にしても、為替にしても、大相場の後、必ず調整局面が来ることを強調しておきたい。そして、調整局面自体は、マーケットの内部構造に任せれば、それなりの値幅とスパンをもって終了する。

 しかし、途中で人為的な要素が入ってしまえば、それこそ値幅とスパンが歪んでいく可能性が大きいと指摘しておきたい。ゆえに、本来この2014年夏に調整が終わってもおかしくない日本株と米ドル/円は、おそらくもっとだらだらした形で下落していくだろう。

米ドル/円 週足

(出所:米国FXCM

 長ければ、年内一杯まで続くことも…。市況は如何に。

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