■「異次元緩和」後と同様なら、116円半ばまで上昇後反落
次のチャートは、2013年4月4日(木)の「異次元緩和」後の市況を記録している。
(出所:米国FXCM)
このチャートを検証すればわかるように、緩和策が発表されてから2日間(取引日)の値幅が5円超、そして6日間(取引日)の値幅が7円超だった。ただし、その後、急落し、4円超の下落幅を記録。押し目のチャンスは、この反落を待たなければならなかった。
今回の場合、緩和策発表日(10月31日)の安値から2日間(取引日)で7円超の値幅はいっしょで、マーケットがサプライズに同じ反応を見せたと言える。
同じロジックで推測していくと、本日(11月7日)は6日目(取引日)となるから、前回と同じ値幅を取っていくなら、116円半ばまで上昇余地を拡大し、その後、4円超の反落ありといったところだろうか。
(出所:米国FXCM)
仮にまったく同じパターンを繰り返す場合、目先の高値を追うよりも、押し目を待つほうが得策と言えよう。
また、前述のように、仮に今夜(11月7日)の米雇用統計で良い数値が出たとしても、米ドル/円はせいぜい116円台の打診に留まり、それ以上の高値追いは短期スパンにおいてリスクが高いとも言える。
■75日移動平均線の乖離からも過熱感が見てとれる
もちろん、相場はそう単純に繰り返すとは限らないし、単純に繰り返す方が珍しい現象だ。
しかし、仮にここから相違を見せることになれば、米ドル/円がさらなる高値打診をするよりも早期頭打ち、つまり、前回のような値幅を取らないうちにスピード調整(反落)を始める可能性が大きいとみる。
何しろ、目先の値幅で見る相場の反応は似ているものの、過熱感でいうと、今回の方が大きい。マーケットは今回、より大きなサプライズを感じているようだ。
75日移動平均線との乖離でみればわかるように、今回の方がよほど「買われすぎ」で、目先115円台半ばの水準自体、オーバーボートの疑いが濃厚だから、より修正されやすいと言える。
(出所:米国FXCM)
■円売りの死角になり得るのはユーロ/円の動向
その上、円売りの死角があるとすれば、QE観測にさらされるユーロ/円の動向にあるだろう。
すでに追加量的緩和した円サイドと、これから量的緩和されるユーロサイドでは互角となるが、マーケットは不確実性を持つ材料により反応しやすい性質がある上、最も出遅れたQEが出口政策にも最も遅れるといった連想から、円売りよりユーロ売りのモメンタムがより強いと思われる。
実際、ユーロ/円は昨日(11月6日)144.20円まで一時高値トライしたものの、大きく反落して大引け。2013年高値を起点とした全下落幅に対する78.6%反騰位置の突破に失敗した模様だ。
(出所:米国FXCM)
昨日(11月6日)の陰線がもたらしたトップアウトの暗示が早期解消されない限り、ユーロ/円のリバウンドはすでに終了した公算も強まる。
ユーロ/円のトップアウトが確認されると、近々、それが米ドル/円の頭を抑える側面も強まるから、注意が必要だ。市況は如何に。
(PM2:30 執筆)
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