■米ドル/円は当面の目標120円に急接近!
みなさん、こんにちは。
過去のコラムのとおり、10月31日(金)のダブルバズーカ以降、円安相場が続いていますが、そのスピードが加速してきました。
【参考記事】
●衆議院解散・総選挙で株高・円安継続か。ドル/円は120円へ向けて上昇継続とみる(11月13日、西原宏一)
11月17日(月)の「GDPショック」により、一時、米ドル/円が115.46円まで急反落したのが、今週(11月17日~)唯一の押し目局面。

(出所:米国FXCM)
事前に発表されていたとおり、日経平均の反落時には日銀によるETF(上場投資信託)買いが出動し、日本株は反発。加えて、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と思われる米ドル買いが断続的に持ち込まれ、米ドル/円も急反発しました。

(出所:株マップ.com)

(出所:米国FXCM)
本稿執筆時点での米ドル/円は118.71円と、当面の目標値である120円にあと1円と迫るところまで急騰しています。
今年、2015年の収益悪化が懸念されていた、いくつかのヘッジファンドも今回のダブルバズーカの恩恵を受け、収益が急速に改善中。
■米ドル/円は2015年年明け124円に向けて上昇へ
前述の日銀の「有言実行」のスタンスに本邦機関投資家の投資スタンスにも変化が見られています。11月19日(水)の東京市場から、本邦機関投資家の米ドル買いが断続的にマーケットへ持ち込まれている模様。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
多くの機関投資家はヘッジをかけたまま、10月31日(金)のダブルバズーカ(前回コラムを参照)、11月17日(月)のGDPショックと、一連のイベントも静観していましたが、安倍首相が衆議院解散の公表を終えると、米ドルの底堅さに耐えきれず、ついに米ドルのヘッジ外しを開始。
【参考記事】
●衆議院解散・総選挙で株高・円安継続か。ドル/円は120円へ向けて上昇継続とみる(11月13日、西原宏一)
加えて、アジア中銀と思われる米ドル買いも散見されるようになってきました。新たに彼らが米ドル買いで参入したことにより、米ドル/円の上昇が加速しています。
米ドル/円は欧米短期筋の2014年年末のターゲットである120円にあと1円強のところまで急騰しています。

(出所:米国FXCM)
この後のマーケットの注目は、12月14日(日)に実施される見通しの衆議院選挙の投開票。そこで、自民党がどれだけ議席を取れるのかにマーケットは注目しています。
この結果次第では、米ドル/円は2015年年明けに124円に向けて上昇していくのではないでしょうか。
■強力なダブルバズーカで米ドル高から円安相場に転換
円安相場の主役はもちろん米ドル/円ですが、今週(11月17日~)に入って、急騰しているのがクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
先月、10月までは、米ドル/円のみならず、ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルでも米ドルが上昇し、総じて米ドル高が展開されてきた為替相場。
ところが、10月31日(金)のダブルバズーカが強力すぎて、マーケットは円安相場に変貌。ユーロ/円は節目の145円をブレイクし、一時、148.96円、豪ドル/円も節目の100円を軽々と上抜け、101.99円まで急騰しています。

(出所:米国FXCM)

(出所:米国FXCM)
■ECBと日銀の緩和スタンス相違でユーロ/円は急騰
この中での注目はユーロ/円。ユーロ/米ドルは、ECB(欧州中央銀行)の追加緩和期待からユーロ売りが根強く、上値は重いのですが、マーケットにショートが溜まりすぎており、ECBの口先介入の効果が薄れてきています。
一方、黒田日銀は「不言実行」であり、ECBと日銀の緩和スタンスに大きな隔たりができています。
そのため、円の劣化が対ユーロで顕著となっており、ユーロ/円は10月中旬の134.14円からすでに15円急騰。

(出所:米国FXCM)
「有言不実行」のECBのもと、ユーロは対豪ドルでも反発し始めており、本日、11月20日(木)のユーロ/豪ドルは1.4614ドルまで急騰。
ECBと日銀の緩和スタンスの相違が際立っており、ユーロ/円の反発が目立ってきています。節目である150円レベルでは上げ渋るのでしょうが、流れは対ユーロでも円安がメイントレンド。仮に150円が決壊すれば、次の節目は155円。

(出所:米国FXCM)
米ドル/円のみならず、重要な節目である150円に急接近しているユーロ/円にも注目です。
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