■米国株には警戒すべきサインが点灯
では、肝心の米国株には、どんなシグナルが点灯しているだろうか。
読み手によって解釈がだいぶ変わってくるが、年末年始(2014-2015)のNYダウの値動きから考えて、乱高下とも言える不安定な相場になっていることだけは確かだ。高値圏での波乱はトレンド転換の前兆であることに加え、月足における2014年12月の足型が気になる。
長い上昇トレンドの頂点に出る月足、「星」線の足型をもって反転の兆しを示したのは2007年10月だった。
この意味では、2014年12月の足型が、同じ「星」線となったこと自体、警戒すべきサインと言っても過言ではなかろう。
(出所:米国FXCM)
米国株バブルの最終局面は、米早期利上げと相俟って完成されても不思議ではなく、それはむしろ当然の成り行きだとみる。
■ユーロ/米ドルは1.1638ドル前後までの下落も覚悟
前述のように、クロス円における円買戻しの進行が米ドル/円の頭を押さえ、至って押し下げる要素としても看過できない。
ユーロ/円の140円の節目割れや英ポンド/円の179円の節目割れが現実味を増している現在、米ドル/円は、むしろ反落の値幅が限定されているという感触さえある。
これには、ユーロ/米ドルの急落がもたらした影響が大きい。デフレ懸念がくすぶる以上、ECB(欧州中央銀行)が早期QE(量的緩和)に踏み切る観測が高まり、年末年始の薄商いもあって、ユーロ/米ドルは1.18ドルの節目割れを果たしている。
(出所:米国FXCM)
テクニカルの視点では、2014年10月、11月や12月安値を連結した元サポートライン(赤)を割り込んだところが大きい。同サポートラインの割り込みがユーロの急落をもたらし、底打ちのタイミングが後ずれした。これが落ち着くまで、2005年安値の1.1638ドル前後へ下値余地が拡大していくことも覚悟しておきたい。
したがって、場合によっては、ユーロ/円が再度136円台をトライする可能性も大きいから、これがしばらく円買い戻しを推進し、米ドル/円を押し下げる波及効果があるとみる。
とはいえ、ユーロ安がかなり行き過ぎているのも確かであり、ギリシャ危機の再燃があっても、ECBのQEがあっても、このまま一本調子で下げが続くとも思わない。
ドルインデックスは、下のチャートのとおり、重要な分水嶺を試しているが、一直線に上放れなければ、いったんスピード修正してこよう。
(出所:米国FXCM)
このきっかけは、今夜(1月9日)の米雇用統計が作ってくれるかもしれない。市況は如何に。
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