■ユーロ/円は128円台までいかないと下げ止まらない?
さらに、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の視点から見ても、円売りが一本調子に進むわけにはいかないこともわかる。
クロス円で代表的なユーロ/円は、1月に130円の節目割れをいったん回避し、大きく反騰してきた。しかし、2014年10月安値134.13円を割り込んだところで、ベア(下落)トレンドが決定的となり、既述のとおり、これから128円台へ下値を拡大しない限り、なかなか下げ止まらない公算が大きい。
リバウンド自体は調整波と位置づけられるため、おのずと限界がある。
2014年年末高値147.22円を起点とした全下落幅のフィボナッチの反騰位置(≒136.67円)やGMMAチャートにおけるレジスタンスゾーンから考えて、昨日(2月12日)の反落はやはり、それなりの蓋然性があったと読み取れる。
■ユーロ/米ドルは近々1.10ドル台に再トライか
ところで、ユーロ/米ドルの方は、ギリシャに関する合意が先送りされる中、米経済指標が芳しくないこともあって、昨日(2月12日)、20日移動平均線以上で大引けとなった。
(出所:米国FXCM)
ユーロ/米ドルが1月安値を割り込まないまま、むしろ切り返しの余地を示す一方、ユーロ/円が頭打ちしていることは、米ドル/円の保ち合い継続を示唆するサインとも読み取れる。
もっとも、ユーロの切り返しは目先、上値拡大の余地を示しているものの、過大評価すべきではなかろう。
2015年年初来、ユーロの下落はあまりにも急だった。目先のスピード調整があるからこそ、下落波はより健全なものになっていくだろう。最大1.16ドルの節目前後までの切り返しが想定できるものの、近々1.10ドルの大台の安値トライを引き続き有力視。
仮にユーロ/米ドルが反騰している間、ユーロ/円が強くても136.50円前後に留まる場合、逆算すると136.50円÷1.16ドル=117.67円との結果を得られるから、米ドル/円はしばらく120円の節目回復が難しいと推測される。
もちろん、それぞれの通貨ペアでレートの変化にスピード差もあるので、すべてを簡単に計算できるとは限らないが、ユーロ/円やユーロ/米ドルの動向から米ドル/円を逆推測する、といった視点自体は有意義であろう。
■今回の「日銀騒動」とは何だったのか?
最後に、今回の「日銀騒動」について、もう少し考えてみたい。これは日銀内部の軋轢云々よりも、円安のマイナス効果や金利上昇の懸念が燻ったところが大きいのではないかと思う。
こういった懸念は、政府や財務省にも共有されやすいので、今回のマスコミへのリークは日銀関係者の「単独犯」ではない可能性も大きいのでは…と推測できる。
問題は、こういう懸念がこれからどこまで大きくなっていくかである。近々日銀サイドから報道を否定するようなコメントがあってもおかしくないが、そのときのマーケットの反応が見どころだ。
いったん壊れたチャートがなかなかすぐには戻れないのと同様、マーケットの疑心暗鬼もいったん醸成されてしまうと、なかなか払拭されにくい。場合によっては「公式的」すぎる否定がかえって疑問を深めていく可能性さえあるので、油断できないと思う。
市況はいかに。
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