■予想よりも早く米ドル高・円安が進み始めた
前回のコラムの中で、「最終的には米ドル高に向かうと思うが、当面はレンジ相場が続きそうだ」とお話をさせていただきました。
【参考記事】
●原油の一方的な下落傾向に変化あり。ドル/円もユーロ/ドルも最後はドル高に!(2月5日、今井雅人)
しかし、その後、予想よりも早く、米ドル高・円安が進み始めました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■米雇用統計は予想をはるかに上回る好結果に
きっかけになったのは、2月6日(金)に発表された米国の1月分雇用統計でした。
非農業部門の就業者数が25万7000人の増加となり、予想の23万人の増加をはるかに上回りました。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
さらに、12月分が速報値の25万2000人から32万9000人へ上方修正、11月分にいたっては修正値の35万3000人から42万3000人へと大幅に上方修正となったことが、市場関係者を驚かせました。
3カ月間の増加幅は、過去17年間で最大となったというオマケつきとなりました。
■強い数字で市場に与える影響は大きなものに
さらには、これまで伸び悩んでいた平均時給が前月比で0.5%増、前年比では2.2%の増加となったことも早期利上げ期待を高めました。
その結果、米国の長期金利が上昇し、10年物国債の利回りは一時2%の大台に達しています。

(出所:CQG)
これを受けて、米ドルもしっかりと買われて上昇しました。
私は最近の傾向を見ている限り、雇用統計はそれほど大きな流れは作らないと見ていたのですが、これだけ強い数字が並ぶと、さすがに市場に対する影響は大きなものとなったようです。
■米国当局から利上げに対して強気な発言も
このような数字を受けて、米国の当局も利上げに対してかなり強気な発言をするようになってきました。
たとえば、ダラス連銀のフィッシャー総裁は、「利上げのタイミングは残りのFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバー次第だ。時期について私が話すのは適切ではないと考える。3月が望ましいと考えていたが、議論に負けた」と語っています。
また、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、1月の賃金上昇ペースが予想を上回ったほか、雇用も「非常に力強い」ことから、「金融当局は利上げにますます近づいている」との見解を示しています。
■米ドル高・円安へ進んでも、スピードはゆっくり
特に米ドル/円の場合は、以前から指摘しているとおり、日本の公的資金からの円売りが断続的に出ていることから上昇しやすかったという面もあるのだと思います。
【参考記事】
●スイス中銀決断の背景にECBの緩和策。ドル/円下落局面終了。ユーロ売り継続!(1月22日、今井雅人)
●原油の一方的な下落傾向に変化あり。ドル/円もユーロ/ドルも最後はドル高に!(2月5日、今井雅人)
さらに言えば、IMM(国際通貨先物市場)のポジションなどが示しているとおり、ユーロに比べて円の売りポジションの方が、かなり整理されていたという面も影響をしているのではないかと思います。


(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
チャートを見ても、はっきりともみ合い相場を上に抜けてきたので、また、新たなる上げが始まった可能性があると思っています。とりあえずは、2014年12月8日に記録した直近の高値、121.86円がメドとなるでしょう。
ただ、米ドル高・円安が進んでいくとしても、そのスピードは、ややゆっくりとしたものになるのではないかと考えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■ギリシャとEUとの交渉の行方が不透明…
ユーロ/米ドルはまだ下がる余地は十分あるのですが、ギリシャとEU(欧州連合)との交渉の行方がまだまだ不透明なために、もたついた動きとなっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
これがはっきりするまでは、動きづらいのかもしれません。
2月16日(月)にも再びユーロ圏財務相会合が予定されていますが、少し気長に考えたいと思います。
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