■強い雇用統計で早期利上げ期待高まるも、調整入りへ
6月5日(金)、米国で発表された雇用統計5月分に関して、NFP(非農業部門就業者数変化)が前月比28万人の増加と、予想値を大きく上回ったことで、米国の利上げ時期が早まるのではないか? との観測が広がりました。
その結果、米ドル全面高の展開となり、米ドル/円も、一時125.86円まで米ドル高・円安が進行しました。
そして週明け(6月8日~)、一部マスコミが、フランスの当局者が、「オバマ米大統領が米ドル高は問題であると発言していたと話していた」と報じると、さすがに米ドル高のスピードが速かったこともあり、調整が入りました。
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■市場に衝撃! 6月10日の黒田日銀総裁発言
その後、6月10日(水)には、市場に衝撃が走りました。
衆議院の財務金融委員会で、民主党の前原誠司委員からの質疑で、日銀の黒田総裁が、「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れていくことは普通に考えると、なかなかありそうにない」という発言をしました。
これを受けて、一気に円高が進み、米ドル/円も122円台半ばまで急落する展開となりました。
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■黒田日銀総裁の発言が極めて異例な理由
ここでひとつ、確認しておきたいのですが、もともと日本では為替政策は政府が所管することになっています。具体的に言えば、財務大臣です。
そのため、たとえば、為替介入をするときも財務省が方針を決め、その執行を日銀に委託するという形で行われます。
つまり、日銀には為替政策を決める決定権がないということです。
ちなみに、米国も日本と同じ体系になっていますが、欧州やオセアニア諸国では、中央銀行が為替政策の決定権を持っており、制度に違いがあります。
今、お話ししたように、日本では為替政策の決定は、財務大臣の権限であるので、「日銀は為替レートに関して発言しない」というのが一般的な慣習となっています。
つまり、今回、黒田日銀総裁が為替レートに関して発言したのは極めて異例だということです。
さて、そこで黒田日銀総裁の…
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