■ドル/円は一時、125円台後半まで上昇も伸び悩む
みなさん、こんにちは。
6月5日(金)の米雇用統計は好結果に終わり、米ドル/円は、一時、125.86円まで上昇しました。
ただ、米雇用統計の発表直後に米ドル/円は1円急伸しましたが、それ以降は、上値を伸ばせない展開に。
その理由は、前回のコラムでご紹介した125.00円のオプション(※)から供給される米ドル売りが上値を抑えていることがまず挙げられます。
そして、もうひとつは、日米当局からの米ドル高や円安けん制コメントに対する警戒感。
(※編集部注:オプションには「バニラ」と「エキゾチック」の2種類のオプションがあります。為替のニュースなどでよく出てくる「バリアオプション」は、エキゾチックオプションのひとつで、権利行使価格に一度でも到達してしまえば、そのオプションは消えてしまうというような特殊なルールが加えられています。一方、バニラオプションは通常のオプションになるので権利行使価格に到達しても消えてしまうようなことはありません。上記の125.00円のオプションは「バニラオプション」であるため、米ドル/円が125.00円を上抜けても、消えてしまうようなことはないというのが西原さんの見解です)
【参考記事】
●ドル/円は125円到達も調整は長引きそう。中国株下落でなぜユーロは上昇するのか?(6月4日、西原宏一)
今週、6月9日(火)に公開した「FXほっとLINEで作戦会議」でご紹介したとおり、米経済指標が好結果に終わると、マーケットでは、米ドル高けん制コメントに対する警戒感が高まります。
【参考記事】
●好調な米雇用統計で9月利上げ期待上昇! 米経済指標が好調なほど、ドル安に注意?(6月9日、西原宏一)
■米経済指標が好調なほど、米ドル高けん制発言を警戒
なぜ、米ドル高けん制コメントが高まるのかを最初からまとめていくと、今月、6月5日(金)に発表された米雇用統計の数字が極めて好調だったことから、FRB(米連邦準備制度理事会)による、2015年9月利上げへの期待感が高まりました。
ただ、現状は、米国の利上げとは違う要因で、米ドル高が進んでいます。
それは、日本では、日銀による異次元緩和と、「くじら」と称される公的機関からの「米ドル買い・円売り」。そして、欧州ではECB(欧州中央銀行)のQE(量的緩和策)による「ユーロ売り・米ドル買い」ということです。
このマーケット環境に、米国の9月利上げの材料が重なると、米ドル高が加速することが予想されます。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
これを放置しておくと、米ドル高の加速が米企業の業績を悪化させ、好調を維持している米国経済に暗い影を落とす懸念が出てきます。
そのため、6月5日(金)の米雇用統計の好結果が、米当局からの米ドル高けん制コメントに対する警戒感を高めることになったのです。
そして、マーケットの懸念どおり、まず、週明け、6月8日(月)には、「オバマ大統領は強いドルは問題だと言った-フランス当局者」とさっそく米ドル高けん制コメント。
もちろん、このコメントは米国の当局者から否定されましたが、多くのマーケット参加者が懸念したとおり、米ドル高けん制コメントがいきなり飛び出したことから、米ドル/円は124円台に沈みました。

(出所:米国FXCM)
■黒田総裁の発言で、米ドル/円は122円台半ばへ急落
「オバマショック」で124円台に押し戻された米ドル/円ですが、6月10日(水)には、日銀の黒田総裁が下記のコメントをしたことから急落。
実質実効為替レートがさらに円安になるのは、普通に考えればありそうにない=黒田日銀総裁
米当局からの米ドル高けん制コメントの次は、本邦当局から円安けん制コメントが発せられたことから、米ドル/円は122円台半ばまで急落しました。

(出所:米国FXCM)
米国の利上げ期待が高まる中、日米当局から米ドル高や円安けん制コメントが発せられたことから、好調な米経済指標とは裏腹に米ドル安へ。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
■米当局の目的は、米ドル上昇の発射レベルを下げること
米当局の目的は、米ドル高抑制そのものというよりは、FRBによる利上げ前に米ドル上昇の発射レベルを下げることにあります。
これにより、短期の米ドル/円の上値メドは125円ということになります。
下値メドは、このコラムで何度かご紹介している、1990年4月高値からの長期トレンドラインである122円台前半。結果、米ドル/円の当面のレンジは122~125円。
【参考記事】
●ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円へ上昇するのが濃厚と考える理由とは?(4月23日、西原宏一)
●125円に急接近のドル/円は128円も視野に! なぜ、ドル高・円安は突然加速したのか?(5月28日、西原宏一)

(出所:米国FXCM)
仮に、この長期トレンドラインが崩れると、米ドル高トレンドの調整幅が深くなり、米ドル/円は120~125円のレンジでの米ドル高調整相場へ。

(出所:米国FXCM)
すでに述べたように、米国が利上げに向かっている公算が高まっており、長期の米ドル高トレンドは変わりません。
したがって、今回の調整局面で米ドル/円の下落が深くなれば、中長期プレイヤーにとっては、米ドルのロングを再構築する良いチャンスとなるのですが…。

(出所:米国FXCM)
日米当局から米ドル高や円安けん制コメントが飛び出した米ドル/円の動向に注目です。
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