■今後の利上げに関して、前回より後退した内容のFOMC
6月16日(火)~17日(水)に、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されましたが、今後の利上げに関して、前回より後退した内容となりました。
少し、内容を見ていくことにします。
まず、金融政策の判断材料となる経済見通しですが、2015年第4四半期は、前年同期比で1.8‐2.0%となっていて、前回予想の2.3‐2.7%から下方修正されています。
失業率に関しては、2015年第4四半期で、5.2‐5.3%、2016年は、4.9‐5.1%としています。
ちなみに前回は、それぞれ、5.0‐5.2%と4.9‐5.1%でしたから、こちらも少し下方修正していると言って良いと思います。
■思惑で買われていた米ドルの失望売りは大きかった
その上で、金利の見通しについてでありますが、四半期ごとに発表されるFOMC参加者の予想中央値によると、2015年末のFF金利(※)は、0.625%で3月時と同水準。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
つまり、年内には最低でも2度、0.25%の利上げを実施することが示唆されているということです。
これは前回と同じでしたが、2016年末に関しては、1.625%と前回の1.875%から下方修正されています。2017年末についても、3.125%から2.875%に引き下げられました。
また、FOMCのメンバーは、全部で17名ですが、そのうち年内に利上げを開始するべきと考えている人が15名、2016年以降にすべきという人が2名ということも判明しています。
こうした発表を受けて、米ドルは、当然のことながら下落しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
FOMC結果発表直前までの期待感、つまり、「イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、以前の講演で年内利上げを示唆していたこともあり、何か指針となることを言ってくれるだろう」との思惑が高まったことにより、米長期金利の急上昇とともに米ドルが買われていたこともあって、市場の失望売りは、大きかったと言えます。
■米利上げはあっても年内は、1回に留まるか?
そして、2015年末のFF金利予想は、中央値が0.625%と前回3月から据え置きとなりましたが、ドットチャート(FOMCメンバーそれぞれの予想値を点で表した表)の分布図が、なんと0.375%、0.625%、0.875%にきれいに5人ずつ並ぶという珍しい形となりました。

(出所:FRB)

(出所:FRB)
市場では、FOMC内での意見がまったくまとまっておらず、そのために年内の利上げが1回に留まるのでは? との見方も出てきており、こちらも米ドル売りを後押ししています。
ただ、利上げが行われること自体に変わりはなく、日米の金融政策の方向性が正反対となっていることは確かです。
下値では、引き続き本邦年金資金などの長期資金をはじめ、本邦実需勢の買い意欲が強いなど、市場の需給関係はタイトなままとなっています。
目先のポジション調整が一巡すれば、中期的な円安方向に変更はないでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■目先の米ドル/円はレンジ相場と見ておきたい
ただ、目先は、黒田日銀総裁が「円安牽制発言」をしたとして売り込まれた6月10日(水)の安値122.46円や一目均衡表基準線の位置する122.37円が目安として意識されている一方、上値は、9日(火)の高値124.74円をレジスタンスレベルとしたレンジ相場と見ておきたいと思います。

(出所:米国FXCM)
いずれにしても、ユーロ/米ドルが方向感をなくしているなか、米長期金利の動向や日経平均の動きに左右される神経質な展開がしばらく続くのかもしれません。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。















![ヒロセ通商[LION FX]](/mwimgs/9/7/-/img_975127cf2c6be2ac1a68a003ef3669c022946.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)