金曜日は日銀会合で意味不明の決定がなされたことで、マーケットは混乱した。ETFの買い入れ枠を3000億円増やすというもの。これを追加緩和とみなしてよいのかの問題だ。文字だけで判断すると、とても緩和だとはいえない。
しかし追加緩和の一環でやっているという日銀の意思の表れであったら、とても恐ろしいことになる。やはり状況によっては何でもやるんだなということになって、市場に大きなインパクトを今後も与えかねない。
判断に苦しんでいるのはマーケットも同じで、後は相場に聞いてみるしかない。日経先物はランチタイム以降やや上がってきて、19300円台。そのレベルから最初のニュースのヘッドラインが流れたときは、まずは株売りで反応した。
しかしすぐに反発。日経先物は500円以上も急上昇し、5分ほどステイした後で、すぐに反落に転じた。日経先物は1000円落ちて、18000円台に突入。
この動きは為替相場でも同様であった。ドル円は日銀の結果発表で、最初はマゴマゴ。しかし大きく上昇へと向かった。簡単に123円台に乗せてきて、123.54まで高値をつけた。こんなところを買っていくほどの材料でもないのにと思いながら、とうとう8月下旬以来の最高値の近くまで戻してきた。
しかしこれを超えられなかったのも構造的な売りをテクニカル面から誘発したのであろう。ドル円も日本株の下げとともに反落。122.90あたりで下げ渋ったが、下がりだすと止まらない。121円台の前半まで降下し、その後も短期筋による投げ売りが相次いだ。
黒田総裁の会見が始まったが、「あれは追加緩和ではない」と発言。すでに株価が失望で大きく落ちたことが判明してからの言い訳のようなものであった。
仮にあのまま日本株が上がってしまい、日経先物が2万円の大台乗せで終わっていたら、きっと「今後も必要ならば行動を起こす」といって誇らしく追加緩和の継続を宣言したことだろう。
まあしょせんは官僚作文なのである。ドル円はそれをうけて一段安となった。121円台に突入し、欧州序盤で121.06の安値をつけた。昼間の高値から2円50銭の下落を演じたことになる。
こうした金融当局の優柔不断な態度は、海外市場では余計に嫌気された。欧州株や米国株まで道連れで大幅安する結果となった。なにも経済イベントはなく、原油相場も1ドルしか動いていない。そして為替相場も上下動はするものの、海外市場では比較的に落ち着いた動きに終始した。ユーロドルも1.08台がコアの狭い動き。
今週は依然としてマーケットの騒然さはなくならないだろう。せめるべき方向はリスクに対して下向きである。日銀が何か明確なメッセージでも出さないと、その緩和姿勢が疑われ、相場の不安定さはぬぐえないものだと思われる。市場の材料は少ないものの、値動きの乱高下には要注意だ。ドル円は121円台割れは回避しているが、引き続き要ウォッチである。
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