■英ポンド急落の背景に中東や中国マネーの動きアリ
一方、2016年年初から続落しているのが英ポンド。前回のコラムでご紹介したボリスショックの影響はもちろん大きいのですが、そもそも年末年始から英ポンドは続落しています。
【参考記事】
●月足終値で1.40ドル割れなら31年ぶり!英ポンドを暴落させたボリスショックとは?(2月25日、西原宏一)
欧州やアジアの友人によれば、この英ポンドの下落は資金移動が起きていることが要因のようです。
そもそも、昨年(2015年)前半までの英ポンド高は、中東や中国から英国への資金流入が続いていたことが材料視されていました。
ところが、中東は原油価格の下落、そして、中国は資金流出が続いているため、彼らが英国に投資していた資金を徐々に引き揚げていることが、英ポンド安を誘引している模様。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
そして、その中東や中国が引き揚げた資金の帰還先は米ドル。
これは米国のファンダメンタルズが良好という理由で、そうなっているわけではありません。
現在のグローバルマーケットは「中東情勢、原油急落、Brexit(英国のEU(欧州連合)離脱)、中国経済急減速」といったリスクオフ要因に事欠かないことから、現金でもあり、流動性も高い安全資産である米ドルへ資金が回帰しているということのようです。
ただ、年末年始に一番強烈に急落したのは当コラムでも注目していた英ポンド/円。昨年(2015年)11月から見れば、一時34円も暴落しており、強烈なダウントレンドを形成しています。
【参考記事】
●2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!? 英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ(2015年12月24日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
ただ、これは前述の「2月SQショック」で米ドル/円が暴落したことも要因。投機的な円買いが収まると、米ドル/円も本稿執筆時点では、114円台を回復しています。
■円買いは短期的、今後の主役は英ポンド/米ドル
前述の友人によれば、2月の急激な円買いは、SQをうまく利用したヘッジファンドのリスクオフ演出であり、極めて短期的に円ロング(買い建て)にしたのみで、その後、円ロングをキープするわけではないとのこと…。
【参考記事】
●日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか?(2月18日、西原宏一)
つまり、通常、リスクオフ相場では「米ドル買い・円買い」となり、今回もそうした流れなのですが、円買いは短期的なものであり、継続しないということです。
こうした背景から考えれば、この先は英ポンド/円ではなく、英ポンド/米ドルが主役となりそうです。
そして、英国のみならず、欧州からも資金が米ドルに回帰している流れが顕著であるため、ユーロ/米ドルもじり安の展開。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
今週(2月29日~)はユーロ/英ポンドの巻き戻しも出ており、英ポンド/米ドルは調整局面を演じていますが、流れは「英ポンド安・米ドル高」です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
グローバルな資金移動のウワサもあり、欧州通貨安、米ドル高の流れは変わらず。英ポンド/米ドル、ユーロ/米ドルの行方に注目です。
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